PAPUWAを読んで違和感があったのが、高松がキンちゃんとグンマの反抗期にすねて、隠居したという事でした。性格はあれだけど40代半ばの働き盛りの名医を、みすみす手放すシンタロー総帥は損をしたなという思いと、高松ってすねてない時ってあったっけ、と思いました。
頭のいい人の方が悲観的になりやすいとは聞きますが。つまり、いきなり44歳という分別盛りの男がちょっとした事ですねたのではなく、もともと鬱積していた不満足感、行き場のないルサンチマンをやっと自分の物に出来たのではと思います。
ためこんだルサンチマンの行き場ってどこなのだろうと思います。高松の場合、覇王マジックに小石を投げる意味で息子のグンマをだまして囲いましたが、それくらいではマジックは傷つきません。怒りというレールの先はやはり怒りしかないので、いつかは駅に降りて駅弁を食べるなり、ホテルで一泊なりしないと体が持ちません。
なんで高松が癒されないレールに乗ってしまったのかと言えば、彼の起点だったルーザー様がいなくなったからです。息子のキンちゃんが現れてくれて、高松と心を通わせた時、高松の「すね」はやっと彼のものになり、ずっと離れられなかったガンマ団という閉じた場所から出ていけたのではと思います。(ウテナ風に言うと、世界を革命した高松。)
妄想込みで高松の半生
■何を思ったか香川から暗殺者集団の付属学校へ進学。自分の才能を生かせる所へ、という思いなら京阪神あたりへの進学ではいけなかったのか。
■才能を誇って士官学校に入ったものの、周囲では特異体質持ちか、総帥の縁者がトップクラスを占めていて、少しばかり勉強と運動が出来ても、肩身が狭い。
■ならばと禁じ手の様に総帥の弟に近寄り、研究員見習いになるが、才能を伸ばすという点では有効だったものの、彼は超がつくほどのブラコンだった。
■彼は特別な育ちだし、家族の絆で危険な状況を乗り切ってきたのだろうから、高松がルーザー様のブラコンについてあれこれ言えはしないが、ルーザー様がマジックに使い捨てされる心配を抱く高松。
■すごいブラコンの男を好きになったのは仕方ない。お付き合いさせてもらえるくらい関係を深めたのは束の間、いくらブラコンだっていっても死ぬ事はあるまいと思っていたが、兄弟のために殉職された。
■残された彼の男の子に、憎いマジックの全財産を相続させようと嬰児すり替えを敢行するも、秘石のあれこれで失敗。苦労して手懐けたグンマも、高松を捨てて本当の家族の下へ去る。
■なんかもう自分には仕事しかないなと思ったら、総帥が代代わりして、学生時代に散々醜い所を見せてしまったシンタローが新任。免職不可避。
■折角出会ったキンちゃんも、高松の不安定な立場や、結局自分やグンマとは家族でない悲しさをまだ理解出来ないので、一方的に「お前がいなくてもいい」宣言をグンマの提案でしてしまい、不可避だった免職は現実のものに。
■何か身の回りが静かになり、自分の宣言がいかに高松にとって大きい物だったのか気が付き、狼狽するキンちゃん。隠居先に行って見たり、理由をつけて高松を呼び戻したりして再縁させる。
|
|