セーラームーンの功罪についてです。主にテレビアニメの方です。一見、明るい平等主義を掲げておきながら、実は選ばれし女の子の英雄譚でしたというオチ。・・・有能な奴がいいよねとうたっておきながら、ルーザー様から愛されて大事にされるのは、結局青の一族だけだよねという悲嘆にかぶる気がします。
(※悲嘆でも何でも無く、ルーザー様は高松に期待させるような事、一切しなかったのだろうなとも思う。)
■アニメでは、なるちゃんの様なうさぎの一般人の友達が敵に襲われる事で話が進みます。市民を襲う敵から皆を守るのがセーラー戦士という事で分かりやすいのですが、なるちゃん達は単なる被害者ではありません。うさぎのクラスメイトや、街で暮らす普通の女性達にも、うさぎの様な特別な力が眠っているとされるから、襲われるのです。
■初期 普通の人間の持っているエナジー(生命力)を標的に、ダークキングダムは街に攻めてくる
■R 初期と同じ
■S 普通の人間の「ピュアな心」を標的に、敵が街に来る
■スーパーズ 普通の人間の「美しい夢」を標的に、敵が来る
■セーラースターズ 普通の人間の「スターシード」を標的に敵が来る
麻布十番の人達が敵に襲われるから、うさぎ達は登下校中に変身して戦う事になります。皆が襲われるから戦うという分かりやすい構図ですが、何故、狙われるのが普通の女性達なのかと言えば、普通の人にも、うさぎの様な特別な人にも、等しく価値ある「生命力」「心」「夢」「スターシード」が宿るから、です。
セーラームーンが伝えたいのは、普遍的な愛や価値観なので、うさぎが特別だから戦うのではなく、普通の女の子でも、大事なものを胸に秘め、時には戦うのだという事を表現しているのだと思います。
とてもいい話なのですが、昔のアニメなら、選ばれし人のお話の方が多かったと思います。選ばれし人だから、凶悪な敵と戦うのだと。セーラームーンは選民思想を排除し、誰だって頑張れば愛の戦士になれるという、とんでもない平等思想を置いて行きました。
戦士でないなるちゃんや、普通の女の子にも等しく価値があるのだと言っておきながら、うさぎは月のプリンセスで、レイちゃん達はプリンセスを守る不老不死の戦士です。劇中で恋を叶えるのもうさぎ一人で、レイちゃん達は恐らく意中の人と結ばれる事はないでしょう。この不平等さ。 |
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