鉄道で有名な宮脇氏の本籍は香川だそうです。香川が本籍だけどあまり行かないと本にあり、氏の起点はいつも自宅のある渋谷でした。
渋谷を起点にして鉄道を味わうのだから、青息吐息のローカル線はあくまで「枯淡で素晴らしい」ローカル線で、高崎線の様な郊外電車はつまらなかったのかもしれません。ある本に倉賀野駅はつまらないとあり、単なる郊外駅となればつまらないと思いますが、群馬県の数少ない工業地帯の駅であり、操車場もあるので自分は好きです。
宮脇氏は国鉄の旅客がお好きで、貨物の方は余り本で触れていなかった気がします。貨物は乗れないから関心の対象外なのは仕方ないですが、大震災で東日本全体が落ち込んでいた頃、又は大雪で群馬全てが孤立した様な頃、自分は群馬を駆けていく貨物列車に夢と誇りを感じました。(安中の東邦亜鉛の専用線付近の眺望は圧巻だと思う。)
ちなみに内田先生の御実家は岡山だそうです。先生も晩年は岡山に帰らなかったそうですが、著作では岡山への愛情が語られています。自分の瀬戸内海のイメージは、内田先生の作品からのイメージもあるかもしれません。
■マジックとコタについて考えていました。マジックが普通のお父さんっぽい事してくれないかなと思いましたが、仮にマジックが普通のお父さんだったら、暗殺者集団のリーダーを義務教育中からこなしていて、自発的に当時の身内を虐殺した事から、検証しないといけないかなと思いました。
マジック本人でないので分かりませんが、マジックがシンタローを愛しているのは、ジャンに似ているからなのでしょう。自分が育てるべき男の子が、好きだった男性に生き写しって、そりゃ問答無用で可愛いと思います。高松とキンちゃんみたい。その男の子が暴れん坊でも、生意気言って大人ぶっても、むしろ嬉しい。何でもしてあげたい。
(高松みたいな男が輝ける場所って、マジックみたいな男の下なのかなと思う。マジックのシンタローへの一極集中の愛が生んだ隙間と言うか、自称キンちゃんの家庭教師・部下・世話係他の高松を、新総帥シンタローは拒絶したんだろうなと思う。高松は経緯からして若手から拒絶されてしかるべき人だと思うが、キンちゃんは高松が本気で出ていくとは思っていなかったと思う。)
■マジックのジャンへの思いは一旦おいて。マジックと先代総帥の関係はどうだったのかという事も考えました。マジックは父の仕事を継いだ訳ですが、父の周囲にいた人たちはほとんど皆殺しです。やらねばやられるというのも嘘じゃなかったと思いますが、マジックが一族の共食いに自分から飛び込んで、勝ち抜く気だったのも事実でしょう。
幼少期のマジックの心には、数少ない家族である父が側にいない辛さがずっとあったと思います。幼い頃は、仕事の内容如何以前に、父が熱中するお仕事そのものを憎んだかもしれません。父を連れて行ってしまう叔父さん達や、ガンマ団の人達を、マジックは父を奪うものとして恨んだかもしれません。
■マジックの幼い不満が、父とのやり取りで解消される事はなかったと思います。イライラしているうちにルーザー様が生まれ、兄としてルーザー様を面倒みる事が父から命じられたからです。仲のいい兄弟として振る舞わなければ、マジックは父がますます遠くへ行ってしまうと焦ったかもしれません。(弟が半ば憎いマジックと、素直にお兄ちゃん子になってしまうルーザー様のすれ違いもいつか整理したいです。)
兄として振る舞う事に慣れて来た頃に生まれたのがハレ・サビなので、ルーザー様は生まれる順番まで不幸だったと思います。父への怒り、憎しみ、満たされなさを抱えたままマジックは成人します。ルーザー様がいたから仕事に行く父を引きとめられなかった無念の延長上に、ジャンの事件が起き、ルーザー様は亡くなり、マジックに敵はいなくなりました。
■コタはマジックの敵だったのだろうなと思います。マジックはジャン、シンタローという黒い瞳に黒い髪の一族外の男達に癒される事はあっても、両目秘石眼のコタにはかつて自分から父を奪った叔父達や、足手まといだったルーザー様と同じものを感じたのだろうと思います。シンタローはコタを可愛がるから、自分の安心のためにコタを幽閉するのは時間の問題だったでしょう。
我が子を幽閉って虐待に他なりませんが、マジックも幽閉されていた様な少年時代だったのだろうなと思います。家柄として不自由だったのもありますし、いい子、いい長兄でいないと父が自分を愛してくれないだろうという強迫観念込みで。自分はマジックをかばうつもりも、批判するつもりもありません。・・・コタは、父への恐怖や閉塞した内面を、島で解放出来たのかなと思います。 |
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