madeingermany

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...... 2015年01月20日 の日記 ......
■ マイペース   [ NO. 2015012001-1 ]
■憎悪について考えていました。憎悪なんてなければ一番ですが、南国を思うと頭から消せないワードの一つです。南国もPAPUWAも、リキッドへの虐待などは詳細に描写するのに、大事な場面は描かないかギャグで済ますので、物語に取り残された憎悪を思うとゾッとします。

高松はキンちゃんが家族や仕事関係の人と馴染めそうなのを見届けたのなら、帰って来てはいけませんでした。ルーザー様の件の関係者を、高松が心の中で許したと思えないし、キンちゃんについては可愛い子を旅に出す覚悟が高松に出来たとしたら、喜ばしい事だと思います。・・・高松の場合、憎悪を上回る何かをどんな境遇からも見つけ出せるかもしれません。キンちゃんが生きている限り。

(グンマの自身の境遇についての憎悪、トットリの明るい顔の下の何か、アラシヤマの内向きな感情、シンタローの晴れる事のない家族愛とか。時間が解決してくれるのか。)

■そんなに怖くない方の憎悪について書きます。

・アラシヤマはシンタローが憎いと思います。好きなのに振り返ってくれないという、甘い憎しみもあるかもしれませんが。(PAPUWAにおいて、コタを島から救い出してシンタローに喜んでもらおうと、アラシヤマが全く思ってないのが意外。マジックが余程怖いらしい。)


学生時代、シンタローが理事長を兼ねるマジックに溺愛され、全てはシンタローの努力なのかマジックの依怙贔屓なのか、よく分からない所が憎かったでしょう。アラシヤマは周囲との友情や愛情は期待しなくとも、自分の力が正当に評価される事を望んだと思います。

純粋にシンタローの力で、ナンバーワンを勝ち取った事も事実だと思いますが、マジックの息のかかった場所で、シンタローより強く、シンタローより愛される子は居てはなりません。アラシヤマがそうだとは言えないと思いますが、アラシヤマにはガンマ団士官学校やガンマ団そのものが、シンタロー一人のための芝居小屋、出来レースに見えたでしょう。

ならばアラシヤマはシンタローのためのモブ役なんて辞めて、自分の人生を生きればいいじゃないと思いますが、そうはいきません。アラシヤマに帰る場所はもうないでしょうし、マーカーも戦線離脱を許さないでしょう。シンタローのために利用されるのが、アラシヤマの最初で最後の任務だから。



・キンちゃんもシンタローが憎かったと思います。魂だけでも父から愛されるシンタローが憎かったと思います。自分は生まれた様な生まれない様な暗闇の中で、足掻いていたのに。父らしきマジックは世界征服だの秘石なのに夢中らしいので、自分も仲良く参戦しようといたら、爪はじきにされるし。

キンちゃんの場合、シンタローと兄弟的な付き合いが出来る様になるのが、一つのゴールかなと思います。シンタローも大変なんだと思えれば、憎悪は薄まるかもしれません。シンタローはコタローが目覚めなくて辛いのに、自分は愛してくれる優しい高松ママと過ごせるのだから、色々我慢せねばなるまいとキンちゃんが思ったとか、思わないとか。



■荷風の断腸亭日乗を読んでいます。戦争の最中の日本が舞台のはずですが荷風は甘い物や肉を食べ、女性と遊び、他の作家や出版社と喧嘩をし、しょっちゅう腹痛を訴えています。荷風くらい昼夜逆転した生活と、外食をしていれば体に響くでしょうが、荷風が改まる事は無さそうです。

疎開中も疎開先やお世話になった家に迷惑をかけていたそうで、荷風のマイペースは続きます。荷風の作品は戦争の影響を受けていないという事で、戦後に読者が増えたと聞きます。確かに、漱石よりも戦争の雰囲気をとどめていません。時代は少し前ですが、吾輩が日露戦争ごっこをしている場面があります。

(※漱石だと満州で友人が働いていたり、あれこれ情勢の影響を受けている。戦争のせいではないけれど、漱石の小説の登場人物は大体暮らしに困っていて、物価の上昇やリストラ、病気や死の描写も多い。

それからの三千代が、兄の存命中は裕福だったけれど、父が北海道で再起を図ろうとして、余計苦しくなったのが読んでいて辛い。北海道というと、昔は今より栄えていたと聞くけれど、三千代についていえばそうではない。行人の長野家も東京住まいながら没落の一途。)

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