■近所に温泉旅館が多く、日帰りでもお風呂が楽しめます。泊り客の方の方が多いので、日帰りだと申し訳ないですが、数時間の悦楽は癖になります。癖になると言いながら今月は行ってません。入稿が済んだら、近場から少しずつ行こうと思います。本当は泊まりたいですが高いので。
温泉場ではありませんが、最近東京の蒲田に泊まる事が多いです。安いホテルなら他にもありますが、東京らしい黒湯が蒲田にはあります。名高い京浜工業地帯でもありますし、都内にいながら、若干心細くない場所です。りんかい線も近いので便利です。
■漱石雑感です。中学生の頃、夏季休暇の宿題の読書感想文でそれからについて書き、賞をもらった事があります。クライマックスに向けて、代助が三千代との愛以外捨ててかかって来た描写が好きなのですが、どういう中学生だったのかと思います。姦通小説を読む女の子に、賞をあげた学校も。(※普通に名作です)
・代助にとって、父や兄の稼いだ金でニートしているのが意志的な生活で、友人の平岡の妻である三千代と愛し合うのは自然な暮らしだそうだ。法的結婚、昔からの家族制、義理を守るだけの生活は耐える努力がいる辛いものだけど、姦通は楽しくナチュラルで選ぶべきものらしい。
・代助がニートなのは、日本社会のせいであって、父や兄が実業を頑張り、兄嫁や子供達、果ては代助を養うのは愚かな事だと彼は言う。そんな事より、死んだ友人、平岡と三千代という一人の女性をむしる様に振り回す方が、誠実で素晴らしいと言う。
・漱石にとって、結婚と言う人工的で作為的な物自体、否定的に見えたのかもしれない。明暗の延子の意欲的な結婚生活は当然否定され、虞美人草の藤尾の様に死に至るのかもしれない。門でも、友人から奪ったお米でさえ、最後には宗助に愛想を尽かされかけている。
・代助は滅茶苦茶だと思う。けれどこれが漱石の出した答えらしい。大学に進学するけれども、それはインテリとしての知識や態度を身に着けるだけであって、社会に出るためのものではない。何物にもとらわれず、甘いお菓子を食べて、漢詩に親しみ、妻でもない女性と親しむのが漱石はいいらしい。
(※繰り返すが、例えば後漢末の曹操達の文学は、戦乱の渦中故の凄惨さもあり、そんなにおっとりしたものではないと思うんだが。)
・そう言いながら漱石には鏡子さんがあるし、大学からは自由になっても、今度は小説を書くという仕事がある。自分を家から追い出した両親、冷たかった義父母、大学や文壇からは逃げられても、鏡子さんは漱石の伴侶である。鏡子さんや子供達を理由なくいじめたり、酷い事をしたりするのは、漱石のこじれた自己防衛本能故であり、鏡子さんと子供達に責任はないと思う。
・弟子達にしてみれば、神の如き漱石がイライラしているのは、大学のせいでも文壇のせいでも、ましてや弟子のせいでもないとばれば、矛先は鏡子さんなのかもしれない。鏡子さんにしてみれば普通に嫁ぎ、普通に奥さんとして漱石の側にいるだけなのに、理不尽だ。 |
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