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...... 2015年05月30日 の日記 ......
■ 香り   [ NO. 2015053001-1 ]
■久々に前橋駅を利用しました。前橋駅から静岡まで直通の電車が走っていますが、本当に同じ電車かと思うくらい、前橋で見かけると穏やかな顔をしています。静岡から前橋まで降りずに乗る人は少ないかもしれません。

東京、神奈川の電車の混雑を見ると流石と思います。でも前橋は閑散なのが普通です。通勤通学御用達と言うか、そもそも前橋に用のある方と、都内あるいは横浜に用のある方の人数の違いでしょう。そしてどちらが鉄道として優良なのかなどと、問う必要もありません。

GW中、好奇心で都内から西に鉄道を乗ってみましたが、同じJR東日本なのに違う顔に見えました。普段乗らない私鉄は、更に知らない人の様に見えます。知らない人の乗る、知らない電車なのだから仕方ありません。


■前橋のばら園に行ったら、昔見た映画「パフューム」を思い出しました。大量に花を見ると、色々な記憶が蘇るようです。ばら園の雰囲気は至って平和で、穏やかな夕暮れを過ごしました。特別期間中につきというライトアップも気になりますが、バスと電車の都合で未見です。

映画のパフュームはR15でしたが、まさか花や香水、美しい女性と美しい街並みが出て来て、あんな超展開になるとは思いませんでした。普段、刺激の強いものは余り見ない方ですが、この映画は最後まで劇場で見ました。当時、映画を沢山見れば、自分の原稿がよくなるのではないかと、映画館に通っていました。自宅の近くには映画館が無く、遠い高崎まで通いました。



■映画は、香りをひたすらに追い求める不幸な青年の話でした。父親はおらず、母親とも早いうちに別れた主人公は、いい香りをかぐ事に全精力を傾ける様になります。天才的な嗅覚をもった犯罪者の話でして、彼が求めるのが金銭欲でも性欲でもなく、香りだけなので、あまりに非現実的なお話でした。面白かったです。

今この映画を思い出したのは、そういう一線を越えてしまった人への罰について考えていたからかもしれません。谷崎の初期作、刺青は若い女性を無理に捕まえて、背中に大きな刺青を入れさせるという、困ったお話ですが、刺青を入れた主人公は後悔もしないし、罪に問われません。入れられた女性も、刺青に満足の様です。



谷崎の場合、卍の園子の夫ですら、最初は光子や綿貫を好ましく思っていなかったのに、最後にはほとんど自分から光子・園子との心中を選びます。園子は落ち込むかと思いきや、卍の語り手として割に平然としています。

谷崎の場合が異例だと思います。逸脱した行為が劇中でほとんどとがめられないのは合意だからでしょう。全ては谷崎らしいファンタジーというか、一線を越えた人達は大体裁かれるのではと、公園のバラを眺めながら思いました。

高松はずるいから、自分よりもっと一線を越えた人達の近くに寄りつくという方法を選んだようです。四国にずっといたとしたら、高松も普通の人生を過ごせただろうと思います。高松はキンちゃんに刺青を入れたり、薬を飲ませたりしないと思いますし、谷崎に似ているとしたら、美しいものを拝跪したいという欲望の一点かなと思います。

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