madeingermany

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...... 2015年06月11日 の日記 ......
■ 最後に金色の死   [ NO. 2015061101-1 ]
■昨日からと言うかずっと考えてる沈黙の高松についてです。テンションが高く、リアクションが大きく、息子の様な年齢の青年達に交じって年甲斐もなく暴れるのが高松だとして。そういう高松が大好きですが、多分一生周囲に本音を話さない気がします。

本音と言っても「研究費が欲しい」「あんたバカァ」「無様ね」くらいは言うと思います。同じくらいの罵倒は受けてますし。でも、「6月はルーザー様のお誕生日でもあるし、ルーザー様と式を上げるなら一番幸せになれるという6月がいいな」とか夢思ったとしても、言わないでしょう。

ルーザー様の誕生月を思った時、ジューンブライドだなあと思った自分がいました。どうしたことか、6月12日は恋人の日だそうです。縁結びの聖人の日だそうです。

自分を愛してくれる高松が梅雨の空の如く浮かなかったら、キンちゃんがどうにかして口を割らせるのかなと思います。お前はいつも白衣を着ていて、白が似合うから、お父様のお嫁さんの様だとか口走ってくれないでしょうか。キンちゃんに「お嫁さん」のイメージがあるのか謎です。どこかのロイヤルファミリーのパーティー等に呼ばれた時のために、一般のご家庭についての知識は与えられていると思いますが。



■耽美、耽美と考えていたら、谷崎の金色の死を思い出しました。短編ですが内容は重いです。初期らしい悪魔主義、赤裸々な感じはいつもの雰囲気ですが、いわゆる耽美に走ったキャラが耽美故に亡くなっています。

劇中で亡くなった人物のモデルが三島由紀夫、その友人が谷崎なら、何となく谷崎は耽美を書き切った上で、その後作品の方向を変えたのかなと思います。その後、金色の死を余り気に入っていなかったと見えるので、どこかのタイミングで考えを変えたのかなと。

肉体美と莫大な財産を有する青年が、美の王国とも呼べそうな大邸宅をどこか人知れない所に作って、屋敷の中で自分の体に金粉を塗り、皮膚呼吸が出来なくなって亡くなるという話でした。

確か、荷風の孤独死に恐怖したらしい谷崎なので、耽美の果てが不幸と孤独と死だとするなら、耽美主義を捨てる様な気がします。谷崎は面白い人で、常に身の回りに誰かしらいつも置いていたそうです。普通に仕事関係の人もいるし、若くて可愛いお嬢さんだった事もあった気がします。

憂いや不幸を引きずるよりも、何度も恋をして、美味しいものを沢山食べて、風景の綺麗な所に住むのが谷崎かなと。貪欲な所が好きです。




谷崎が求める様な愛敬と知性を兼ね備えた女性は、天地に松子夫人くらいであったのかなと思います。その松子夫人ですら後期の小説でモデルになった時、意外とやや雑に書かれていますので、谷崎の飽くなき欲望は耽美というより、彼自身の追求の様に思えます。

谷崎は、耽美だと売れそう・読まれそうだから耽美傾向にしようとか、それくらい打算する作家だと思うので、いわゆる耽美に付きまとう、不幸・背徳感・死の影を無視するかのように性格がたくましそうです。

くどいんですが。南国の良さは、まさしく青い海、白い砂浜の様な明るさと強さであって。背徳と死と、不幸賛美の様な耽美ワールドは合っているのでしょうか。そういう暗闇まっしぐらな話を本当は書きたかったと言うなら仕方ありません。でも、好きなキャラがどんどん不幸体質に墜ちていく様は、見ていて辛いでしょう。

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