■短髪高松に燃えます。女性なら見事なロングヘアをばっさり切るのは大事件ですが、高松は男なので、という事もなく彼にも大事件なんじゃないかと思います。キンちゃんの教育、仕事の指導にあたるには、それくらいの決別は必要だったのかなと。
年齢にふさわしい美しさ、ナイスミドルぶりが上がるので短髪も自分は好きです。中身は高松のままだから、ファンタジーなロングヘア姿の時ならギャグで済んでいただろうあれこれが、通報騒ぎになる事必須でしょうけれども。
■旅程を考える時、日本海側のルートを考える事が多いです。南北いずれに行ったとしても、新潟までたどり着けば群馬が目の前なので、比較的気安いです。太平洋側は縁遠いと言うか、東急等は余りに路線が複雑で、乗りこなせないと思いました。
日本海側にだって私鉄がありますが、やはりJRが大きいです。地下鉄・路面電車があっても、観光用というか、都内の様な怒涛のダイヤグラムではないはずです。都内は都内の良さを感じながら乗ると楽しいですが、東京〜神奈川間の殺人的な何かを思うと、自分には気の重い方面です。
栃木方面、ないし大船以東を思うと、新幹線の存在の巨大さを思います。ちょっと乗ろうとかいうものではなく、仙台や大阪まで急いで行く事前提の路線なので、旅程を考えるとかいうささやかな話でなくなります。新津、直江津、新庄などの地名を聞くと、ろくろく降りた事もないのに安心します。いずれも電車の街と呼ばれています。
■細雪の中巻を読み終え、下巻にたどり着きました。上巻のうっとりした感じからまた変わり、中巻の妙子の舞の場面で新品の衣装を用意しなかったと言うくだりから、下巻では雪子の婚礼は帝国ホテルできらびやかに行うとされたものの、衣装が贅沢品として禁令にあたったという変容です。上巻では女性のお白粉の話題で盛り上がったくらいだったのに。
幸子達の家の隣人、シュトルツ一家は戦争のためにドイツに帰りますが、彼等の今後の苦難は劇中で触れられません。ハンブルクも確かひどい空襲を受けています。一家からの手紙では楽しいハンブルクの暮らしの様子があるだけに、谷崎はどこまで知っていて細雪を書いたのか分かりませんが、思えば恐ろしい小説です。
雪子が橋寺と見合いをする時も、出征のための行進の描写があります。雪子も橋寺も行進に疑念や恐れを感じていない様で、あくまで見合いの最中の光景として書かれています。下巻でも、電車で幸子達が士官と乗り合わせる場面がありますが、まるで、はいからさんが通るに出て来そうな若い軍人であって、自分が知っているWW2ではない様な気すらします。
荷風も同時代の暮らしを断腸亭日乗につづっています。荷風程のお金持ち、知識人になると余人とは感性が異なる様ですが、銀座でパンやチーズが買えないという描写をしながら、女性と付き合ったり、汁粉を食べていたりと、荷風だけ別世界の住人の様に見えます。谷崎はあえて桃源郷のような蘆屋を描いているだけで、本心は違う気がします。
荷風の場合、物質・金銭的欠乏を本当に感じる事はなかったとしても、もともと鋭い感性が進み、恐怖や孤立で生活に支障をきたしていったのかもしれません。 |
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