ルーザー様は、高松が「ルーザー様にお子様が生まれる」と謎の歓喜を見せるまで、出生が嬉しい事なのだと知らなかったのだろうと思います。ハレ・サビがいたにせよ、当初彼等の生まれた事実しかルーザー様には届かなかったでしょう。
一応普通の出自と思われる高松はそうはいきません。ルーザー様に奥方が出来るのなら自分もその女性に仕えようとか、延々悩んでのキンちゃんの出生なら歓喜以外のなにものでもありません。
うどんを打ち出したり、生まれるのは男の子なのか女の子なのか人の家の事なのに真剣になる高松を見て、初めてルーザー様は自分が何をしたのか知ったのかなと思います。キンちゃんの誕生と言っても、彼は一族の働き手が増えそうくらいにしか思っていなかった気がします。ルーザー様のご気性というより、彼がそういう生まれだったと言えそうです。
以下はマジック周辺についての雑感です。高松周辺ばかり本にしていますが、この方が作品の本丸なのだと思います。
・兄や姉にとって、弟、妹が生まれると言うのは一つの事件である。今までなんだかんだ言って親の愛を独り占めしていたのに、愛は下の子に持って行かれ、自分には予告なく兄、姉と言う責任が生じるのだから新しい立場を納得するのに時間がいる。
父母から貴方はお兄ちゃん、お姉ちゃんという新しい呼称を与えられ何となく気分がよくなったり、父母が幸せそうにしているのを見れば、徐々に気持ちが落ち着くかもしれない。
ルーザー様が生まれた時のマジックの衝撃はすごかったと思う。ルーザー様がパパの愛を独り占めした時期があったとは思い難いのだけど、マジックにお兄ちゃんという重圧が生まれた瞬間だったと思う。
困った事に、ライオンパパは息子達を置いて戦場に行ってしまう。パパはお仕事だと自分をなだめていたマジックは、今度はルーザー様のために留守番なのだという理由を付与される。まだ言葉もしゃべれないだろうルーザー様と兄弟愛が確立するはずもなく、フラストレーションがたまるマジック。
お兄ちゃんが大好きなルーザー様。本来その気持ちはライオンパパへ向けられるはずだったのだが、いないので仕方ない。親代わりの兄姉というと谷崎や車田の様でロマンチックだが、兄姉にしてみればいわれなき重圧である。
兄のフラストレーションは僕のせいだと自分を責めるルーザー様。親に対してするように、テストでいい点を取ったり、部活を頑張るがマジックには届かない。そのうち可愛いハレとサビが生まれ、マジックの関心は末の双子に注がれる。幼い頃から、外で兄に見せるための獲物を取る事しかしてこなかったルーザー様が一人前の刺客になるのに時間はかからなかった。
・ライオンパパは両目秘石眼なのか、片目だけなのか。ラッコン叔父上、ミツヤは片目と思われる。サビ曰く両目秘石眼で力を操れるのはマジックだけとの事なので、サビの知ってる世代の一族は皆片目ではないか。
ライオンパパが両目の場合
→何故次子のルーザー様は片目秘石眼なのだろう。父と兄が両目秘石眼で、自分は片目だという事にルーザー様がコンプレックスを持ち、余計仕事熱心になった可能性を疑う。
ライオンパパが片目の場合
→マジックの特異性が強調される格好になる。サビの言葉とも合う。ルーザー様がいまいちマジックと仲良く出来ない時に、自分は片目だからと落ち込まないといいなと思う。ミツヤみたいな拳銃派の方が疲れなくて確実でいいと思うんだが。 |
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