madeingermany

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...... 2015年11月07日 の日記 ......
■ 糸子   [ NO. 2015110701-1 ]
■アニメのフリー!ESを見ています。劇場版公開中にフリー!を最初から見られないかなと思います。ハイ☆スピード!は小説が原案と聞いているので、直接アニメが結びついている訳ではないらしいですが。

ESの凛を見ていると、こういう少女漫画の女の子見たなと思いました。あくまでイメージですが、1990年代の少女漫画はみんなこんな感じだった気がします。

一見、頼もしくてスポーツ万能の明るい少女。運動部の部長だの生徒会長なんかしてしまうのだけど、実は泣き虫で、転校してきた元ボーイフレンドに、周囲のお友達が言わない様な本音を聞かされ、ただ可愛く泣くしかない的な。

彼女の彼氏は従順で、女の子が「みんな」と企画したイベントやなんかやかに献身的になってくれ、肩の故障だの、自分の将来だのも、女の子に捧げて戦ってくれる。




■最近漱石を読んでいませんが、読むたびに謎が深まるのが漱石の様な気がします。Kを自殺する程苦しい立場に追い込んでおいて、「Kは寂しかった」と言ってのける先生、結婚しても一向に関係を持たない先生に不愉快と疑いを向ける静に、「妻が私を誤解する」と言う先生。全て漱石も素、先生も素なのがホラーです。



なんでこうなるのかと言うと、漱石の忌避するものが。

・全ての人為的なもの。生命保険、言葉のあや、恋愛時のちょっとした虚飾、普通のお世辞、夫婦親子関係、等

・既婚女性。女性は嫌いじゃないけど、上記の様に「人為的」に婚姻し、夫に気を遣う様になった女性が嫌らしい。女は結婚すると駄目になると言うのが漱石のポリシーで、猫から明暗まで変わらない。

・お金持ち、権力者


つまり、普通に大学を卒業して適度な仕事について、お金を稼げるようになって妻をもらう、と言う流れが漱石には気に入らない様です。彼岸過迄の須永の様に、婚約者同然の千代子を冷たく扱い、親の遺産で一人旅行などしているのが最善の姿らしいです。

なにせ仕事というものに対しても、特に神聖視する事ない人の様です。漱石は真面目ですが、小説だとあくせく働く人達に対し冷たいです。



そんな漱石のポリシーが詰まった初期作が、虞美人草です。暇で仕様がない甲野、小野、宗近等が高慢な女性である藤尾を叩きのめす話です。藤尾にすると、兄は根暗でだらしなく、許嫁はフリーターという窮地を脱するための小野との婚姻だったと思いますが。

可憐なだけの小夜子は兎も角。おかしな立場にいるのは糸子でしょう。家庭的で優しい女性という事で、漱石の愛を獲得しています。糸子は父親が健在でよき理解者である事、兄も外交官をしているという事で、父のいない藤尾よりずっと楽な立場にいます。

甲野のようなしっかりしない男と結婚しても、糸子には父親がいますから、経済的に困る事などなく、甲野の性格を認める事が出来ます。寄る辺の無い藤尾には憎らしい女性でしょう。

藤尾が糸子を嫌うのは、糸子が単純である事と、自分よりずっと頼もしい男が側にいるからでしょう。藤尾にも母がいますが、母には財産も係累もいないらしく、やはり藤尾が母の頼りの様です。

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