madeingermany

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...... 2015年11月17日 の日記 ......
■ 静   [ NO. 2015111701-1 ]
■グンマから見た高松を書こうとし、余り上手く行きません。蜜月だってあったでしょうが、何で高松が復讐したい男の息子を預かったと言えば、19歳だった自分が20、30、40と生き延びる未来が見えなかったからだと思います。

高松も暗殺者集団の一員であって。ルーザー様が23歳で亡くなったのを目の当たりにしたのなら、自分も数年で事故なり仕事なりで死ぬのではと思ったかもしれません。ほんのわずかの間、「ルーザー様の遺児」のグンマに優しく接し、本当の子息は権力者に守らせようという魂胆だったのではと思えてなりません。

ほんの一時の関係だったはずのグンマと高松について浮かんだのは、お互いずっと必死だったんだろうなと言うイメージでした。高松の張り詰めていた糸を切ったのは、キンちゃんだったと思います。




■漱石雑感です。門外漢なので事実と違う所があるかもしれません、ご容赦下さい。

・漱石は作家としてのデビューは遅めですが、書いている内容のプラトニックさがすごいです。狂信的にピュアな小説ばかりです。

坊ちゃんと言えば清ですが。清は劇中通りだと。

・坊ちゃんとはあくまで他人
・年齢差、身分差故に結婚出来る間柄ではない
・甥より坊ちゃん、主人より坊ちゃん
・坊ちゃんが四国に行こうと心は坊ちゃん
・少ないだろうお給金でおやつやお小遣いをくれる
・坊ちゃんの将来を夢見るのが何より好き
・亡くなったら坊ちゃんと同じお寺に入りたい

坊ちゃんへの愛情の深さは他人とは思い難く、坊ちゃんの実母は他にちゃんといるので清の態度は奇異でもあります。献身の権化の清が漱石の理想の女性なら、漱石の配偶者たる女性の苦労が目に浮かびます。



・明暗はプラトニックというより生々しい若夫婦の様子ですが、一向に話が進展しないまま未完になりました。延子のお腹には津田の子供がいるのではと言われています。健康な若い夫婦という設定ならそうでしょう。

亡くなった精神を病んだ娘さんと三沢の話、千代子を束縛するだけの須永、兄嫁との黙認的な恋人関係を楽しむ二郎、といつもスレスレの所でピュアさを主張してきた漱石にしては、明暗は大胆です。

津田の子供が延のお腹にいても、津田は清子に走りそうだし、津田を追って温泉場に来た延は無事生めるのかすら分からないしで、未完前の部分だけでも滅入る内容です。漱石のプラトニック信仰と、「普通」の欲求がぶつかり合う様は熾烈です。



・こころの先生が頃の自分と静について「恋愛を線に例えるなら、端に性欲があって、反対の端に精神的なものがある。自分は後者だ。」という場面があります。

こころを読めば先生の潔癖さ、頑固具合が分かるので、先生が冗談を言っている訳ではないのは想像出来ます。実際、精神的な恋愛はあり得ると思います。Kが唱えていた、精神的な向上と似たニュアンスだと思います。



そんな先生曰く。妻が私を誤解する、だそうです。こころの映画になったのを見た事がありますが、静は自分を女性として求めない先生に怒っていました。劇中でも静と先生は喧嘩をしていて、静は私に何か悪い所があるのならおっしゃって下さいと言っていたと思います。

先生は頭がいいので、静が謙遜して言っているのではなく、ものすごく怒っている事を理解したでしょう。夫も妻も健康でありながら何故と静は怒っていますし、先生を内心見限っている部分があります。

先生が自身の男女観を静に押し付けているとは思い難いです。先生は、なんか嫌なだけなのだろうなと思います。愛しいKの心を盗んだも同然な静という女性を、幸せにする気が先生に起きるとは思いにくいです。

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