■南国&PAPUWAを読破すると、かえって秘石の力の及ばない人達が愛しくなります。石の力と言うとセーラームーンでお馴染みですが、セーラームーンの場合銀水晶の力が特異なだけで、普通の女の子のなるちゃん達も「エナジー、ピュアな心の結晶、夢の鏡、スターシード」を持っています。普通が一番大事というスタンスでした。
キンちゃんも青の一族の力がありますが、普段は利用していません。高松と勉強するのに必要なのは努力であって、秘石眼ではありません。南国&PAPUWAでは結局両秘石がなんであるのか分かりません。物語の嵐が去れば、ガンマ団も心戦組も普通の暮らしが再開されるのでしょう。
セーラームーンでも、うさぎという女神の化身が側にいてもレイちゃんは火川神社の巫女です。うさぎの銀水晶の力があれば病気も怪我もパッと治り、人類の寿命は1,000年に到達するのに、マーキュリーの将来の夢は医者です。彼女達の「普通」が好きでした。
高松もルーザー様が見出してくれた「普通の」自分を信じて、キンちゃんと生きて行って欲しいなと思います。自身はファンタジー要素皆無なのに、特異体質だの秘石の一族だの番人だのとやっていけている、意外と努力人の高松が好きです。キンちゃんもルーザー様も、高松のそこを評価しているのではと思いました。
■南国は何とか頭の中で物語を立体化して、いつ誰が何をしたのか把握出来た気がします。物語の発端とも言える、ジャンがガンマ団に来たあたりからマジックが健在なので、時間軸を考えるのにマジックの動向が頼りになります。マジックに物申せるキャラが僅少なので、彼単品で何となく時系列がまとまります。
PAPUWAでは不可能です。マジックが知らないくらい古い過去が物語に食い込んでいて、南国と違って最終決戦?にマジックが参加していません。シンタロー、リキッド、コタ、パプワの動向、思いを全て立体化して想像し、分かった気になる事すら叶いませんでした。まるでPAPUWAは知らない人の頭の中に似た、迷路の様です。
PAPUWAはマジックですら、いつ何が起きたのか把握できていないでしょう。コタが「逃げた」からシンちゃんに怒られる、コタは探せたけどシンちゃんがいない、シンちゃんを探しに全軍動員という感じなのでは。南国ではマジックが青の一族のリーダーでしたが、PAPUWAでは全てのキャラの機能・魅力・責任がリキッドに寄せ集められていて、かえって。
・よき兄貴分→それシンタローの役目では ・秘石関連の第一人者→石本人やヨッパライダーがある ・ガンマ団の手練れ→ベテランのミヤギ達がいる ・物語を引っ張る若者→もっと若いコタ、パプワがいる ・恋愛担当キャラ→アラシヤマとパプワは彼女持ち ・御曹司キャラ→資産等はグンマの方がありそう
頭よくても単純に突っ走るミツヤの方が、キャラの動向、思いをトレースするのが楽でした。性格悪いけど、秘石と喧嘩しても意外と元気なアス、アスの事ドン無視して平気なソーちゃんとか、青サイドは原作者の手が込んでいない分自由かもしれません。赤は考えるだけ混乱します。
ヨッパライダーが言うように、赤の秘石にはあれこれ理想的な思いがあって、自分の世界があったのでしょう。でも青の秘石は箱庭のような孤島を嫌がり、広い世界へ出て行きました。青サイドが自分勝手で攻撃的で締まりがないのは認めますが、それが青い石と、普通の人間同然の体で作られた青の一族の本懐だったのでは。 |
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