madeingermany

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...... 2015年12月05日 の日記 ......
■ 三四郎   [ NO. 2015120501-1 ]
■月曜に入稿予定です。今までの本を読み返すと、急いて書いたなと思う個所もあって悔やむのですが、入稿の時がまた来ました。

表紙を描けば入稿です。マジック関連で小説のネタが浮かびましたが、春コミに回します。高松は青の一族にルーザー様を通じてしか関わっていませんので、マジックメインの話の場合、いつものキン高、ルザ高と混ぜていいんでしょうか。

マジック、ルーザー様の代では混乱のあった一族ですが、キンちゃん、グンマの代は仲良くしているようで何よりです。同じ母親から生まれ、育ててもらったと言う訳ではなくとも、高松がそういう立ち位置なのかもしれません。




■鎌倉の海で先生に近寄る私も大概ですが、三四郎も不思議な感じがします。三四郎が九州から鉄道で出て来る冒頭で、三四郎はある婦人と隣り合って座ります。当時は九州から東京に出て来る場合、名古屋で一泊するそうで、一人旅の婦人は三四郎に「同宿」を求めます。

旅館の人から夫婦だと見られ、三四郎がどきまぎする場面。後に、若いよし子や美禰子からいい様にされる三四郎の姿に似ています。女性に奥手と言うより、性への欲望自体薄いのでしょう。

与次郎は大学入学前に濃厚な女性関係があったそうです。与次郎は後のそれからの平岡、寺尾、行人の岡田に近いポジションに思えます。「普通の男」、気持ちよく飲酒して妻帯あるいは女性関係もしっかりあり、勤労者的な感じ。三四郎や代助から軽蔑されかねない彼等ですが、彼等がいないと火が消えた様です。



三四郎は、初対面の広田先生に車内で桃をもらって食べます。美味しそうに、ムシャムシャと広田と食べている様子が想像出来、名古屋の女性の時の様な緊張と動揺はありません。

「こころ」「行人」等に見られる、異様なまでの女性不信、結婚への絶望の予兆に思えます。明暗も、温泉場で苦悩するだろう津田を救うのは妻でも吉川夫人でも清子でも秀子でもなく、同性の小林と画家だろうと思われます。




■昔からオタク思考だからか、古典の授業の源氏が大変面白かったのを覚えています。惟光と生垣の後ろにしゃがみ込み、他人の家の幼女に目を奪われる源氏について、きちんと解説する先生の話を注意深く聞き、国語と英語と世界史だけで大学受験を乗り切った思い出があります。

オタク思考で試練を乗り越えるなら、逆にカタギになったら自分は何も出来ないんじゃないのかなと思います。漱石についても、正当な専門的講義を一回も受けずにここまで来てしまったので、言いたい放題です。

ですが、やっぱり先生のエゴイズムは、自分の静への恋のためにKを傷つけたと言うより、「お嬢さんにKを奪われる」「世界は自分とKのためにある」という傾向だったのではと思います。Kに先生の愛は伝わらず、


・もう経済的に駄目、家にも帰れない
・恋したお嬢さんは先生の妻になった
・修養一番で今まで来たけど、もうそんなエネルギーはない
・先生とお嬢さんと言う、新婚ホヤホヤの家に居候できる程、Kは厚顔無恥ではない
・先生と正々堂々、友としてお嬢さんを取り合う事もなく、お嬢さんを奪われた無念さ


等の理由で、Kは自分の喉を切りさきます。悲鳴一つ上げないで亡くなっていったのは、諦念としか言えません。小刀を取り出した時、自分の喉に刺した時、先生が飛び込んで来て止めてくれるのを待っていたのかもしれません。

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