madeingermany

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...... 2015年12月07日 の日記 ......
■ 寒い日   [ NO. 2015120701-1 ]
■就寝前にもう一度原稿を見直したら、封をして郵便局に持って行こうと思います。アナログ原稿なのでそんな感じの入稿です。入稿後の虚脱感と高揚感と不安定さを思うと、ずっと書いていた方が精神的にいいんじゃないかと思いますが、そうもいきません。

昨日入稿の予定でしたが、表紙のルーザー様のお顔を少し直すので、一日延長しました。ルーザー様ってお内裏様ではないですが、無表情に近いのに、見ている・書いている・描いている時の気持ちで別人の様に思えて来ます。スタンスが揺らいでいる、キャラ把握が甘いのだと思いますが、じっと彼を見ているだけで結構楽しいです。



世の努力家の常で、高松も「頑張らないと自分は無価値」とか思うかもしれません。己の価値について考える時、余人目線なら高松はどうということはないと思いますが、相手がルーザー様となると。

「頑張って何か功績を出したら、ルーザー様は自分を見て下さるかもしれない。彼が興味を持つのは功績であって、私でなくてもいい。」と腹をくくった数秒後に、自由に生きているけど彼から大事にされるサビやハレを見て、暗澹たる気持ちになるのかもしれません。

水車みたいになっている高松に、ルーザー様が「お前くらいの男はどこにでもいる。(だからそんなに気負わずのびのびやってくれ)」と言って、しょっちゅう泣かせるのでしょうか。ルーザー様とすると、高松のすごい功績に興味はなくはないけれど、一番興味があるのは高松の内面なのでは(だったらいいなあ)。




■まだ漱石のこころの雑感です。あそこまで報われない片思いってないなと思いました。先生とKの事ですが。Kは先生が何故、あそこまで献身的なのか考えた事があるのでしょうか。多分ないでしょう。

Kが修養第一として生きて来たのは、もしかしたら先生の様なお坊ちゃん育ちの人への復讐だったのかもしれません。Kも立派な家の生まれですが、母が早くに亡くなり、養子に出たので、かえって立派な家に居にくさを感じていた様です。

片や先生は、大学時代に両親が亡くなり、叔父が地元で幅を利かせる様になるまで、本物のお坊ちゃんでした。お坊ちゃんだから、叔父が街に妾宅をかまえて、女性を住まわせているとかに嫌気を感じたのかもしれません。叔父が従妹と自分を夫婦にしようとした時も、先生は「妹みたいなもの」「叔父が強引で嫌だ」とあれこれ言いますが、先生には最初から異性がいらなかったのでは。

自分は学生だから、お金にも性にも無頓着であったと先生は言いますが、要は、育ちのいい、色々に無自覚な青年だったという事だったのではと思います。




Kは先生と同じ家で過ごしたある時、寒いのに火鉢に炭をおこさないでじっと震えていました。炭を入れましょうかというお嬢さんを、かたくなにKは拒みます。それを聞いたお嬢さんと先生は、Kのおかしな頑固さを笑います。

Kは頑固だから震えていたのではなく、炭を買うお金がないから震えていたのでしょう。火鉢も炭も、お嬢さんの家のものです。自分の生活費は全て先生が出しています。Kは頭のいい男だから、修養とか何とか言っても、人の金で暖を取っては威張れないと思ったのでしょう。そして、金がなくては恋するお嬢さんと結婚する事は出来ません。

お金持ちで性にも特に不満足を感じていない先生は、おかしな事をいうKをお嬢さんと笑い、変な男であるKを全てを自分のものにしたような満足感があったのかもしれません。そんな意地の悪い満足を与えてくれるKがいなくなった後、先生が新妻も構わず、鬱々と引きこもり酒を飲んでいたと思うと、なんか納得出来ます。

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