madeingermany

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...... 2015年12月22日 の日記 ......
■ ドン・キホーテ   [ NO. 2015122201-1 ]
■南国&PAPUWAを読み返すと、アラシヤマの気持ちが分かる様な気がします。最初の頃の彼はいかにもやられ役と言うか、京都弁・炎・強いというアピールポイントが多いだけに残念な感じです。

物語が進んでもアラシヤマの残念さは変わらないのですが、意外と表情や反応が豊かで、赤青の一族の事や、ガンマ団という組織への理解もちゃんとある賢いキャラに成長していて、話の進行に彼が必要になります。

正確にはアラシヤマがいなくても物語は進むと思います。ですがあの原作者の何かに引きずられた、サビ&シンタローの愛されプリンセス化、コタとキンちゃんの身の上のド放置ぶり、ジャンのよく分からん迷走他に、アラシヤマは巻き込まれません。アラシヤマは立ち位置が美味しく、キャラも立っています。



アラシヤマがシンタローに寄せる感情の複雑さも、分かる気がします。シンタローは一方的に愛憎を押し付けてくるアラシヤマが嫌でしょうが、ならばアラシヤマがシンタローの事情や立場を理解し、彼なりに尽くそうとしたら。やはりシンタローはアラシヤマを拒絶すると思います。

アラシヤマが有能で努力家だとしても、彼の幸福にはいまいち繋がりません。シンタローとは役者が違うのだと言えばそれまでですが、シンタローのマジック譲りのカリスマ、及びあふれる自信は誰にも真似できないのです。強大な覇王の愛の下に生まれた御曹司と、特異体質に悩みっぱなしでここまで来た不器用っ子では、最初から勝負になりません。

ミヤギならシンタローに悪たれの一つ言っても笑って済むでしょうが、アラシヤマでは嫌味一個言っただけで大怪我します。キャラの違いとしか言えませんが、そういうジタバタを抱えるのは竹淵だけじゃないと思えて、ちょっと気が楽になります。



■ドン・キホーテ雑感です。次に読むのは10年くらい先かもしれません。

ドン・キホーテは本名アロンソ・キハーナという、ラ・マンチャの郷士だそうです。ラ・マンチャのどこの村の郷士かは分かりませんが、スペインに旅行に行くとマドリードのドン・キホーテ像を見て、ラ・マンチャの風車を見る事が多いと思うので、何となしにドン・キホーテめぐりをしたような気分になります。

ラ・マンチャの風車を自分は観光した事があります。スペインらしい広大かつ乾燥した土地の様で、その分室内が快適そうで、急ぎ足で観光するのが惜しくなりました。




ところでドン・キホーテは遍歴にさえ出なければ、普通の初老の男性だそうです。サンチョに語る時や、騎士道以外の事を話す時の彼は博識で冷静です。騎士として遍歴をしている時でも、普通にしている時がちゃんとあって、狂人と名高いのは嘘なのかと出会った人が当惑している描写があります。

普通の人だったキハーナ氏が、何故騎士などになろうとしたのか。騎士物語を読むだけでは済まず、ロシナンテにまたがって出て行ってしまったのか。

多分、彼が善人だったから狂ったではと思います。自分は寡婦や乙女を守り、正義のために戦う騎士なのだと彼は名乗るのですが、結婚も恋愛もしないで初老を迎え、このまま姪と家政婦と暮らし、狭い所領を守って暮らすのが本当は嫌だったけど、善人だから自分の運命を受け入れていたのでしょう。




騎士物語には美女に好かれるナイトや、偉くなって人から尊敬される男達が沢山いるのだそうです。欲望が満たされつつも、毅然と振る舞うナイトにキハーナ氏は、自分の姿を見つけてしまったのではと思います。

普段の生活で適当に自分の欲望を満たしておけば、騎士のコスプレなどにはまらなかったのかもしれません。善人であるキハーナ氏にはそれが出来ず、初老を迎えていました。読んだ騎士物語への憧れは止められなかったとしても、我に返った時の恥ずかしさは死に至るものだったのかもしれません。

遍歴を止めたくらいで、殴られても蹴られても騎士をやめなかったキハーナ氏が何故亡くなったのかと思います。ちなみにサンチョはキハーナ氏からちゃんと従士としての報酬をもらい、一時的な悲しみはあれど死にはしません。姪も家政婦も、氏の死となれば相応の遺産がもらえるもんだから余り落ち込んでいないそうです。

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