■シンタローはコタローの誕生まで、本当にマジックを慕っていたと思います。その後もちゃんとマジックを慕っていたと思いますが、かつての様な手放しな感じはもうなかったと思います。
シンタローが変わったのでも、マジックが変わったのでもなく、マジックにシンタローの知らない面があったという事かなと思います。そう思うと、グンマがシンタローより子供っぽく見える理由が分かります。シンタローの方が大人になるのが早かったのでしょう。
高松もマジックも多忙なので、シンタローやグンマと親しむ時間が貴重だったでしょう。子供達には嫌われたくないし、自分も子供達に癒されたいし、そしてパートナーなしに子供達を可愛がっていて。彼等について頼ったり相談できる相手がいなくて、手探りだったろうと思います。
マジックがコタに見せた冷たい面は、むしろ彼の普通に近そうです。コタの方が親離れも早そうですし、手探りで進むという事をシンタローとは違うバイタリティで会得しそうです。
高松もキンちゃんに対して、グンマとは違う愛し方をしていると思います。高松が全身全霊でグンマに接していたのは嘘じゃないとしても、高松には自分自身も知らない熱く厳しい部分があったのだろうと思います。
シンタローはマジックの業を受け継ぐと言う形で、自分の周囲全てから逃げないのがすごいと思います。グンマは、運命から逃げるとか逃げないじゃなくて、どうやって心の中で周囲と折り合っているのか、伊達に天才と呼ばれてないと今更思いました。
■昔、同期が学生時代にケーキチェーン店でバイトをしていたと聞き、勝手にうっとりした事があります。バイトはとても大変だったそうで、苦労した話だったのですが、自分にはケーキ屋の甘い香りや、美味しそうな品々、キラキラしたイチゴなどが目に浮かび、「苦労」のイメージが出来ませんでした。
同期の仕事の内容は重労働だったとしか聞いていないのですが、実際、お菓子屋の仕事は大変だそうです。親戚がパン屋につとめていますが、朝とんでもなく早いです。
同期がバイトしたケーキのチェーン店。高崎にもあります。高崎と言えば群馬で唯一のいわゆる「駅前」がある場所です。地下鉄こそありませんが、路線バスが行きかい、タクシーが並び、可愛らしい花屋やお菓子屋、居酒屋があります。
高崎はごく普通の地方の駅です。でも群馬では並びない駅です。北陸新幹線と上越新幹線が止まる駅で、大宮程ではありませんがターミナル駅です。
山奥からそんなターミナル駅にまで出かけるのが、今もそうですが、どんな楽しみであったかと思います。自分は自家用車でも運転が苦手で、人様の運転した車に乗るのもダメなので、高崎という自分が行けるほとんど唯一の華やかな場所がどうしても必要です。
都会なんて、今の日本では山手線の内側くらしか指さないと思いますが、群馬ならせめて高崎まで出ないと用が足らない事があります。
就職する前、ハラハラドキドキしながら高崎駅で降りて用を済ませ、チェーン店とはいえケーキ屋で大きなナポレオンパイを買い、誰もいなかった車両のなかでかぶりついた記憶は今でも鮮明です。 |
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