madeingermany

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...... 2016年04月20日 の日記 ......
■ ミツヤさん   [ NO. 2016042001-1 ]
■相変わらず細雪を読んでいます。今、上巻の半ばまで来ました。雪子と野村の見合いがあります。細雪については色々な考証があり過ぎて、自分は全部読んでいません。武田泰淳は細雪について、戦後から見れば隔世の感がある、美しい世界だと言っていたそうです。

谷崎の小説はいつもそうで、「ここにない」もしくは「どこにもない」美しさを夢想させます。細雪は文化的考察、蒔岡家のエゴイズムについて等の谷崎研究としても耐えますが、ただひたすら、快いから読むとしても間違いではないのではと思います。




■PAPUWAのミツヤの登場回なのですが。結果的にマジックは悪くないというオチでいいんでしょうか。マジックがひどく後悔するとか、誰かに許しを乞うという場面自体想像しにくいものですが、仮にそんな折りがあるのなら、やはりジャンの一件だったのではと思います。

ミツヤの登場の意味は、「友達」だったと思います。コタはパプワという友達に勇気や元気をもらい、マジックにもそういう友達があったんだという、本来は素朴なテーマだったと思います。



ただしカミヨミ的な血みどろの暴走、話のスケールがいやに大きいために、友情の話なのか、悪事のおさらいがしたいのか、コタの原罪の話なのか迷走しています。

あの一連の回想。出て来るのがミツヤさんでなくて、ルーザー様だったら、もう少しシンプルで南国の要素もある話になったかもしれません。でもルーザー様はマジックを恨む事なんか出来なくて、いたずらにコタローに説教しそうなので、出てくればもれなくギャグです。

いつものギャグタッチでコタから「うっわ、オッサンなのにひどいブラコン」とか冷たく言われるルーザー様なんて、自分には御馳走だったでしょう。





■青の一族の極端な所を濃縮したようなのが、ミツヤさんですが。彼の行動はラッコン叔父を殺した時から、変わっていないと思います。

ミツヤが幼少だったルーザーを暗殺の仲間にし、マジックが気に入らないと知ると、ルーザーを殺そうとします。それは全く異常な事ではなく、ラッコン叔父だってマジックの血縁でした。マジックが総帥になって、序盤で死んでいった人達は大体親戚か縁者か、腹心の人達だったはずです。

ミツヤから見れば、マジックは自分に近しい人を遠慮なく殺しています。ミツヤはルーザーが役に立ちそうだから仲間にし、マジックが気に入らないなら、ルーザーは殺す。ミツヤにはブレがありません。




一連の回想はそういう恐ろしい男に苦しめられた、可哀想なマジックの話だったのでしょうか。結果的には、「マジックは悪くない」という旗印の様な回になってしまいました。コタは父と対話する代わりに、ミツヤに持論を吐いています。

死んでいるミツヤと、未来多きコタでは話し合いになりません。マジックも「自分かわいそう」「自分にはシンちゃんだけいれば幸せ」と言う感情が沸いてしまえば、ドン詰まりです。

あの回想の意味は、コタにどうしようもない大人達のみっともない姿を見せた、という所にありそうです。コタは青の一族以外の人、パプワと出会っているので、ミツヤの「自然」な振る舞いを、真似る事は今後もない無いと思います。



ルーザー様はミツヤに関する一連の事件で、余り学んでいないのかもしれません。マジックに気にいられればよし、マジックが否定したら価値がないと思う様な思考回路がルーザー様にはあります。

ただ攻撃の方向がミツヤの様に漠然と周囲に向くのではなく、「マジックに気に入られない自分自身」に向いてしまいました。ルーザー様はEブロックに行ってしまいました。

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