madeingermany

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...... 2016年05月06日 の日記 ......
■ ナデシコ   [ NO. 2016050601-1 ]

■ずっと読んで来た細雪も下巻になりました。義兄の姉が無理に勧めた見合いはまとまらず、幸子達は蒲郡で遊んでそれぞれ蘆屋と東京に帰宅します。先年自分も蒲郡に行ってみました。新幹線の駅から遠いので在来線に乗る手間はありますが、いい所でした。

下巻で貞之助は軍需関係でお金周りがいいそうですが、その後は分かりません。鶴子達は渋谷住まいですが、その後渋谷は7割が空襲で焼け落ちたと聞きます。雪子の結婚相手も当時軍需産業に勤務しています。

疎開先でも荷風が驚くくらい谷崎は優雅に暮らしていたそうなので、谷崎は人生も作品もいつも芝居がかっていたんでしょう。



■何故、成人男性でひねくれもの、陰険、横暴、若手からの支持すらないドクター高松をナデシコと自分は呼べるのか考えていました。

これはきっと、何故鉄道駅のホームに鉄が群がるのかという問いと同じだと思います。単なる鉄の固まり、どこかの企業が営利目的で作った機械に何故人は人生そのものすら見るのか。格好よく語りたいですが、自分はただの寂しいオタクです。以下はあくまで雑感です。


・自己投影という一言に尽きると思う。

・若いオンナの子を主人公にした、戦闘アニメ・ロボットアニメなどが普通にあるけど、監督は成人男性だったりする。「最近のオンナの子はメカも好き」という事もあるのかもしれないけど、作り手が自分の理想や考え、気持ちを形にするに時、材料として現在の自分の姿ではないもののを求めるのかもしれない。



・幼い少女がプリキュアになりたいと言い、少年がスポーツ選手になりたいと言う。本当にプリキュアになる少女はいないし、男の子でもプロ選手になる子は少ないと思う。

それでも「可愛いアタシ」「カッコイイ僕」を夢見る事は、人生に躍動を与えるのだと信じている。段々、自己投影するものが複雑になって、女の子は「素敵な男性とお付き合いしたい」と思い、男の子も「女性らしい人と交際したい」と思うのかもしれない。

年をとると自己投影がストレートに行かず、「こういう男性に好かれる自分」「こういう女性に愛される俺」にイメージがシフトするのかもしれない。あくまで自己投影なので、現実との乖離がどうしてもあり、自分が傷つかない自己投影先が生まれるのかもしれない。




・生身の相手に自己投影すると問題が多いので(※自分の夢を他人様に叶えてくれとせがむ行為だから)。

かっこいい電車の車両や、創作上のヒーロー、ヒロインが夢を満たしてくれるのかもしれない。時代を駆け抜けた特急車両や、寝台車のラストランにどうしても鉄が集まるのは、それが自分の夢の終わりだからかもしれない。



竹淵の場合。

■美しい人の暮らしや、金持ちの世界は分からないけど(つまりマジック以下青の一族が分からない)、ある意味一労働者である高松になら共感出来なくはない。

■シンタローの様な天性の統率力や、ミヤギの様な「顔だけ」とも揶揄される生来の長所なんて分からないけど、勉強して働いて、好きな人の側に嘘でもいようと足掻いた高松の事なら分かると思う。

■そんな高松は当然ながらグンマに嫌われ、キンちゃんに煙たがられ、シンタローには人員整理されて、隠居と言う名の勇退というか掃除されるんだが。

■それでも何十年もルーザー様が好きで、彼の息子のキンちゃんに呼ばれれば古巣にホイホイ帰って来る高松が大好きだ。立派なナデシコじゃないか。


あの高松を「分かる」「好き」と言うならまだしも、大和撫子と呼ばわる根性は、死にそうな私に必須だと思います。鉄道駅ではしゃいで駅員さんに迷惑なんてかけないから、脳内と原稿の中では幸せでありたいと思います。

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