■高松のコンプレックスは、ソネ君への激怒ぶりからして、目鼻立ちかもしれません。あの高松にして意外と普通です。
高松は体躯に恵まれているし、タレ目もいいと思いますが、高松が自分を比較対象しているのは青の一族だろうと思うので、簡単には癒されなそうです。群馬県産の絹糸のようなブロンド、雪花石膏のまさしくミルク色の肌、サファイアか穏やかな海原の様な青い瞳など、高松は得ようがありません。
金髪碧眼=青の一族=ルーザー様の兄弟=ルーザー様に愛される、と言う構図が高松の中にあるなら。黒い瞳、黒い髪、健康そうな肌色の自分に高松は容赦ないでしょう。プライドが高いからブリーチや美白に走らなそうな分、感情の持って行き場がなさそうです。
グンマと言う美少年に高松が惹かれたのは、そういう面もあったのではと思います。グンマを世話し、かの子に愛されれば自分の「醜さ」が相殺されたような気持になったのでしょう。
高松が本当に解決しなければならないのはタレ目ではなくて。他人からかけられる愛情を拒んでしまうツンな部分ではと思います。ツンなんていうと他愛なく聞こえますが、高松はルーザー様がどれくらい自分を思っていてくれていたのかすら、よく分かっていなかったのではと思います。
その後キンちゃんにもツンを発揮し。好きだと言ってくれるキンちゃんとぎこちない時期があったのではと思います。グンマとの場合は、最初からイミテーションの部分が多かったから、彼自身も演技を楽しんでいたのではと思います。
■何事も普通が一番です。幼少時から性格のひどさと、今思えば発達障害ではなかったかと思う点が多く、自分も普通に憧れていました。
なら素直に女の子らしい日常をマスターし、普通の幸せに向かって邁進すればいいものの、恥ずかしさと、自分がいわゆる女の子らしい方面に頑張っても嘲笑を買うだけ、と身に染みて思っていました。何が女の子らしいかと言うと難しいですが、整容・美容に熱心で、協調性豊かなのは必須だったろうと思います。
今更美少女にもなれまい、と自我に目覚めた自分がイメージしたのは、男装の麗人でした。貧しい田舎人なので宝塚観劇等ハイソな趣味は持ちようが無く、何となしにリボンの騎士のサファイア、ベルばらのオスカル、セーラームーンのウラヌス達が念頭にあったと思います。
彼女達は男顔負けの優秀な女性です。それでいて女性らしさや、優しさを兼ね備えています。憧れるべき女性である事は間違いないですが、自分は一点間違っていました。
サファイア、オスカル、ウラヌスは、ドレスアップすれば周囲の人達が目を奪われる程のまばゆい美しさを放ち、フランツやフェルゼン、数多の男性がダンスの相手に名乗りを挙げます。普段は彼女達を女性として扱っていない癖に、彼女達がドレスアップした途端に駆け寄るとはどういう事だと自分は憤懣を感じていました。
ですが。男装の麗人キャラの注目すべき点は、男装にあらず。ジャケットや軍服をまとう彼女達自身の美しさにあるのだと、自分は最近まで思いつきませんでした。美女が異装すればかえって目立つし、美女であるが故にドレスになれば一層美しさが放たれます。
足が太くて毛深いからスカートをはかないとか、可愛いものを卑屈になって拒む、化粧やスキンケアを「自然がいい」とか言ってサボるのは男装でも何でも無く。ましてや麗人でも何でもないのだと、先日思いました。
本気でサファイア達男装の麗人になりたいのなら。上品さ、運動神経、勇敢さ、気高さ、優しさ等、身に着けるべきものは山ほどあったんだなと思いました。 |
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