■高松を断罪しようとしてあれこれ書いてみましたが、シンタローから見ると嬰児交換って何だったんだろうなと思いました。
シンタローは交換云々の前にジャンと同一人物だとか、実はアスだったとか二転三転していて、あれこれの矛盾を言いくるめるために嬰児交換の設定が飛び出したと思うので、シンタローの前では高松の小細工も意味をなさない気がします。
怖いのはサビで。サビが黒髪黒い瞳で生まれた?ルーザー兄さんの子供をマジックに預け、ブロンドブルーアイズのグンマを高松に渡した訳で。そのサビがシンタローに「お前はマジック兄さんの息子だ」と言い続けていた事になります。他人の高松なら何も語らないという逃避も生まれますが、親族間でそれかと。
サビはサビでマジックやハレ、シンタローをだまし、マジックとハレはルーザー様がジャンを殺した事を黙っていました。高松は酷い奴、いずれ裁かれるべきと息巻いてみても、青の一族に比べると小物なんだろうなと思いました。グンマも高松を恨んでも、高松の小ささを思って勘弁してくれたのでしょうか。
■アラシヤマが人付き合いに困難さを感じてる理由の一つに、あからさま過ぎる点があるのかもしれません。トットリならまず口にしないあからさまな事、ミヤギなら仮に口にしても愛嬌で済まされる点をアラシヤマは表に出すのだろうなと思います。
シンタローが何を思って同年代の男の子達がいる士官学校に入ったのかは分かりませんが、アラシヤマの言う「総帥の息子だから〜」は全くの間違いではないのだろうなと思います。シンタローはマジックの愛情もパワーも与えられる男です。常人とは違うのでしょう。
同じ理由でトチギに田舎者と言ってしまうのがアラシヤマですが、だから周囲もアラシヤマの欠点に目が行きがちなのかもしれません。アラシヤマは真面目でたくましい素敵な男性でも、情緒不安定で偉そうな面もあります。アラシヤマが他人の短所を受け入れられるようになったら、もっと友達が出来るんだろうなと思います。
他人の短所と言っても、あれ程リキッドが嫌ったウマ子ちゃんの「外見」「筋力」をアラシヤマは何とも思いませんでした。ウマ子ちゃんがコージの妹という面もあったでしょうが、トットリ達といる時に見せるアラシヤマの異常さの方が異常の様な気がしてきました。
■志賀直哉の暗夜行路を読んでいます。鳥取県の大山が舞台になる場面があると言う一点で読みだしたので、まだ相当の量があります。漱石の作品なら大体読んでいるので長さは気になりませんが、直哉の文章にはまだ慣れていません。
先に読んだ短編でも何度となく、「女中と関係した」描写が繰り返されるので、暗夜行路も同じなのかもしれません。女中さんと言えば谷崎でも漱石でもお馴染みの人達です。谷崎のギャグタッチ、漱石の「義母の影響で女中に異様に厳しい」部分に自分は慣れ過ぎていました。
いやらしさから言えば荷風の方がはるかにいやらしいはずなのですが、荷風の好色と潔癖が混在した不思議さに自分はいつの間にか慣れていました。独身を通した荷風が人から「隠し子でもいるのか」と聞かれ、絶対にいないと言った事は有名ですが、直哉の小説には散見されるようです。
暗夜行路も全編を読んだあたりには慣れるでしょうか。エロさなら康成、谷崎も相当にエロいはずなのに、彼等は対象を観賞物としか見なさない傾向があるので、気にならないのかもしれません。 |
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