■群馬から来たと言うと、今まであったどなたも「遠くからお越しで」と言ってくれます。住んでいる市町村名を言えば、県内でも「遠く」とされます。遠いし最果てなのは嘘じゃないですが、不思議な事に住んでいる方は便利な住みかだと思っています。
田中角栄さんのお蔭なのか、群馬には高速道路も新幹線もあります。高崎前橋までなら、伊東熱海から乗り換えなしで電車があります。一向に不便ではないし、都内にも気楽に行けます。そうしょっちゅうは行けませんが。
群馬県民は自県を第二の東京、首都圏であると信じて疑いません。すごくいい事なのですが、同じ距離であるはずなのに、都民が群馬を思い浮かべるのは人生に何回あるでしょう。
人間関係もしかりで、「私はあの人が好き、あの人の事をよく知っている」と思うのは正解ではないかもしれなくて、群馬県民が都民を兄弟の様に思っても、都民にはそうでないかもしれません。関東を潤す利根川の源流は群馬にあるからって、南関東の方が群馬を思い出す事はまれだろうと思います。
■スパークが早期満了になったのが悲しいです。ここ何年かは夏コミと冬コミの間に一冊新刊を出していました。今夏はコミケの収容可能スペース自体が減少気味だったせいもあるんだろうなと思います。抽選漏れのサークル様も例年より多くあったろうと思います。
オリンピックの影響がどんな形で同人誌即売会に出るんだろうと思っていましたが、ここに来たかと思いました。あくまで憶測ですが、コミケの規模が縮小されるなら、スパークにエネルギーが向いたのかなと思います。
自分は夏コミが落ちれば、同月のインテックス大阪で新刊を出そうと計画する事が多いですが、やはり東京の方が色々中心になるんだろうと思います。
■少しずつ、志賀直哉の暗夜行路を読んでいます。何とか直哉の文章に慣れてきた気がします。すごく写実的というか、今まで読んで来た日文と言うと主に漱石、谷崎、荷風でした。鴎外や内田先生も読みましたが、繰り返して読んだと言う程ではありません。
直哉は写実的、見たまま感じたまま書く人なのだろうかと思います。国語の授業的に言うと、簡潔な文章、白樺派、武者小路実篤の事等覚えておくと点数が取れそうです。国語は好きだったので、過去丸暗記した分野かもしれません。
テストで暗夜行路=志賀直哉が書いた、と解答するのと実際読んでみるのはかなり違うのだと思いました。写実的なので、直哉になり切らないと読めないかもしれません。漱石だって、先生や代助になり切らないと読めないはずですが、そこは漱石なので、誰が読んでも分かる様に書いてあります。漱石を難解だと思った事はなかったです。
直哉になり切るって、難しいと思います。谷崎なら理想の女性、理想の場所、理想の料理、家などどんどん過剰な妄想が湧き出てくるのを感じますが、直哉は常にありのままの人だったのでしょう。短編でも、京都で浮気した事が淡々と書いてあって、まるで直哉の日記を読んでいる様な気がします。
日記と言えば荷風の断腸亭日乗です。あれは日記でありながら人に読ませる事が前提のものでした。昔の偉い人が書いた日記の様に、その日の天候や世間的な事件の事も割と書いてあります。
ならなんで荷風の性生活の事まで書いてあるんだと思いますが、あれこれ書いてあります。しかしながら荷風の個性の一つであるわがままさ、横暴さ、ケチぶりは流石に本人が書いただけあって書かれていません。全てをありのまま書ける直哉は、本当に神様だったのかもしれません。 |
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