■張り切って表紙を描こうと思ったら、意外と仕事他の疲れが出て来て、半日眠っていました。描かないと胸が痛いくらいなのになんででしょう。
ルーザー様の大切な人はマジック達三人が不動ですが、そうなるとキンちゃんの位置はどんなだろうと思います。やはりルーザー様はマジック達しか目に入らない男であっても、そうでない部分もあったと思います。
高松もルーザー様の不動の石頭ブラコン具合を変えようとは思わず、彼から与えられるほんの少しの好意で生きられるくらいはタフだろうと思います。あんまり構わないでおくと、キンちゃんと一緒に避暑とか言って高松市に里帰りしてそうですが。専用機でおっかけるルーザー様。
■細雪で、どことなく滑稽な人物として出て来るのが奥畑です。奥畑は大きな貴金属店のお坊ちゃん、恋人の妙子は名家蒔岡家の娘でありながら、独立心と芸術的センスにあふれた女性とされます。
しかしながら細雪下巻で。妙子は長らく奥畑から金をもらって贅沢をし、散歩をするくらいの清い仲というのは大嘘だったと暴露されます。
そう思うと、上巻での奥畑の「自分はこいさんの婚約者」という態度はあながち滑稽とも言えません。むしろ幸子達の方が妙子の不品行を認めていたかのような、不利な立場です。
早く奥畑と妙子を結婚させてしまえばよかったというのは奥畑の婆やさんあですが。見合いがまとまらない雪子の存在もあるし、妙子が女学校を出るか出ないかあたりから、既に「ませている」なんてもんでなかったと言えそうです。
■金銭について考えていました。漱石の本名は金之助ですが、劇中でも金銭について執拗に触れています。志賀直哉の暗夜行路では、今の所金銭苦や仕事についての苦難等は書かれていません。
・それからで代助が、三千代に財布からありったけのお金を出して渡す場面がある。お金に困っている平岡夫妻に代助のお金は有難かったと思うが、平岡は代助に職業の斡旋や友達付き合いは求めたものの、金をそこまで要求していない。
同様に代助は姦通を犯した後、義姉から結構な額のお金を渡されている。今後路頭に迷うしかない代助を憐れんでのお金だった。代助にとって第二の母の様だった梅子にして、アクションの最たるものはお金らしい。
・三四郎でも、美禰子の三四郎への好意の発露はお金にある。馬券を買った与次郎は論外だが、三四郎の恋は三千代に金を返した時に終わる。与次郎が「金を借りておいてやれ」というのは、三四郎と美禰子の恋愛を応援している様なセリフである。
・他、明暗では津田と津田の父が喧嘩しているのは、津田が父に金を返さない上に、延子の浪費があるとされる。門でも、最大の問題は健三と義父母の関係だったと思うが、金をあげるあげないで語られる。
■人間関係のいざこさ、上手くいかない面を全て金銭で語る漱石がすごいと言うか。ならば何をして人間関係を語れと言えば難しいです。
漱石は講演会で。親子が一緒に住みながら、子が親に家賃を払う様な物悲しい世の中になって欲しくないとか言っていた気がします。
しかしながら、今は親子間でも金のやり取りはシビアな方がいいとされます。漱石の人間関係の描写と金銭は寂しいけれど、だからこそ坊ちゃんの清や鏡子夫人からの漱石への愛は文字通り無償だったのだろうと思います。
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