 ■小説の面白さに長さは関係ないと思いますが、その長さに興味を覚えて、大菩薩峠を読んでいます。主人公は浪人の竜之介で、幕末の動乱を駆け抜けるかと思いきや、紀伊半島あたりをふらふらしている様です。
この小説が幕末をテーマにした小説なら、どう書いても時間が流れるにつれて、舞台は明治に移るはずです。ところがそうでなく、これからファンタジー小説っぽくなるらしいです。谷崎が絶賛したというのは、未完ギリギリの所まで含めての事だとするなら、確かに「長い話」が不得手な谷崎らしいのかなと思います。
主人公らしい竜之介にしろ、小説が長くなれば加齢、老化は免れません。色々気になり過ぎて、大菩薩峠を読んでいます。
■キンちゃんが親の仇であると目するのは、アスなんかじゃなくて、ジャンとサビだろうといつも思います。高松はキンちゃんがジャンとサビに敵意を向けてもいい事ないのが分かるから、特に何も言わないのかなと思います。アスなら「仇」に不足ないキャラクターなので、自分も普段は気にしません。
「昔からの友達」というのがいないキンちゃんには、高松、サビ、ジャンの竹馬チームがいいものに思えるのかもしれません。昔からの付き合いで、どうにも解消する機会が無かったという事は、普通の人間でも怨恨が発生しやすいと思いますが、そういう黒い面をキンちゃんは想像出来なそうです。
南国後、高松はサビの健康を案じるでしょう。若いままのジャンと再会し、もともと貴族みたいな暮らしのサビが不老の恋人を得て、好物は酒となれば、体調は下降気味なのでは。青の一族的なタフさで辛うじて保っていても、人間でないジャンとの生活は普通じゃないと思います。
キンちゃんは素直に、「旧友」の体を思いやる高松の姿に感動するかもしれませんが、化け物と愛し合うサビは長い事ないかもしれません。化け物に人間の衰弱や死去の理屈は通じず、ジャンは更に狂うでしょう。
■友達がいないという点で有名なのはアラシヤマですが。彼の場合、賞賛・溺愛されている訳ではないけれど、周囲に人は多いと思います。何よりマーカーがいますし、師匠に言い返す度胸も、師匠とやり直す根性もアラシヤマにはあります。
ミヤギ達とも険悪と言えば険悪ですが、流石に長年やりあっているだけあって、「越えてはいけない線」がミヤギ達にはあるのかなと思います。アラシヤマが「自分は嫌われている」と言い、本当に死を選んだ時、彼等は止めましたし。
ミヤギ達は、学生の頃から「シンちゃんのお友達」として、マジックから延命措置を受けていたのではと思います。友達が戦線で死んだりすれば、シンタローが嘆くと思い、マジックはあえてミヤギ達を殺さない程度に使っていたのかなと思います。
そういう生ぬるい特待扱いにミヤギは気が付かないと思います。でも戦歴の濃いアラシヤマ、「忍者」のトットリには分かっていたのではと思います。アラシヤマは見えない過保護を余計な事と感じ、トットリは「ミヤギが生き延びるならいい」と受け入れていたのではと思います。 |
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