■井上靖の自伝っぽい作品を読むと。肉親への目線のきつさに驚かされます。文章が優しく明るいので気が付かない程度ですが、父親に対し「父と親しくない人は彼の公平さに好感を持ち、彼と親しい立場の者は不満を覚えた」とあります。
祖父に対しては更に残酷で。「全く役に立たない」と一刀両断です。思春期の孫が、世代の違う祖父に言い放ったというならまだしも、書いている井上は成人済です。代々続く医者の家なのに医師になれず、家財も商売に失敗したりヘマが続いてダメにしたとはいえ、何の呵責もない肉親への断罪が小説のなかで続きます。
激しく冷たい断罪の連続なのに、小説としてまとまっていて、罪の読み上げに引っ張られる事なく、井上の分身である少年が自分の道を進むのでかえってすがすがしいです。肉親に対し微塵の同情もない代わりに、おかしな肩入れも少ないまま、小説は続きます。
■キンちゃんの生母は群馬県女性なのでは、という妄想が一個あります。マジックなら同じ日本女性でも、秋田美女、博多美女等の方に興味を持ちそうですが、「容姿」で自分の息子の生母を考えなかったあたり、ルーザー様らしいのかなと思います。
ルーザー様なので「女性は容姿ではない」というフェミニンな判断と言うより。「どんな女性が生母でも、遺伝子的に僕の方が絶対に優勢だ」という、青の一族らしい見解もあったかもしれません。それならいちいち、「優秀な女性」というご指名は不要でしょう。
優秀とか容姿端麗とかは実は本当の要件ではなくて。「自分の息子が生まれながらの暗殺者」である事を飲み込み、絶対に、子供が無事生まれて大きくなっても異を唱えない事の方が重要になりそうです。
キンちゃんもグンマも、誰が父親なのかというのはさておき。シンタローが新生ガンマ団などを始めなかったら、人殺しの道しか生きるすべがありません。新顔のキンちゃんは兎も角、グンマは既に半分以上暗殺者めいていただろうと思います。
■相変わらず、群馬は美肌最下位の県だそうです。観光としての魅力も最下位同然です。全国レベルで勝負できるものはないのかと県が考えた所、誕生したのがぐんまちゃんなのかもしれません。
県下でのぐんまちゃんの愛され方は、「お前はまだグンマを知らない」が本当なら、実に激しいです。各市町村、各温泉街ごとにもマスコットはありますが、市町村の枠を超え、遠くは銀座の「ぐんまちゃんち」まで愛は広がります。
前橋市のマスコットころとん(丸っこいブタの意匠)、JR高崎支社のマスコットだるまる等、愛らしい顔ぶれが群馬にはありますので、いつか人気を博して欲しいと思います。 |
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