madeingermany

[PREV] [NEXT]
...... 2017年04月25日 の日記 ......
■ 行人   [ NO. 2017042501-1 ]

■態度が大きい割に、好きな人には強く出られない所のある高松に。英国式にアーリーティー、ベッドティーをルーザー様かキンちゃんが入れて持って行ったら、彼がどう出るのか妄想していました。

そもそも彼等の第一の使用人を自認する彼が、主人であるルーザー様やキンちゃんに、お茶をいれさせる隙を与えるのか疑問であるのと。仮に早朝に枕元まで紅茶が来たら、彼等に給仕をさせてしまった謝罪が来そうです。

いまいち高松が喜ばないので、ムッとするルーザー様とキンちゃんまで妄想しました。


■漱石の行人を読んでいます。猫や虞美人草なら、中学の頃から読んでいるのでお馴染みです。行人だけは、主題が粗筋を読んでもよく分からず、大学に行ってから読みました。

行人の主題は、人と人との分かり合えなさだったのかもしれません。(三沢と亡くなった娘さんの話のあたりは、漱石お得意のファンタジーだと思う。)

仮に主題がそうだったとしても、劇中にアンサーはありません。一郎は怒りたいだけ怒り、暴れるだけ暴れ、鎌倉の紅ヶ谷という別荘で寝ています。

暴れる一郎に必要なのは、一郎を一郎としてだけ見てくれる人だったのだろうと思います。直の前では夫、両親の前では長男、二郎の前では兄、娘の芳江の前では父であろうとして一郎が悩み、相応にやっていこうとしている努力はあったと思います。



人間関係において、「夫であろう」「妻であろう」等という努力程、疲れる上に退屈で甲斐のないものはないのかもしれません。一郎は直に魂とか、本心とか求め出した辺りで、何かが狂ったのだと思います。一郎が直に何かしら不満があるのは確かですが、直にすれば一郎がもう異世界の男の様に見えているでしょう。

両親も二郎もお重も、一郎にはお手上げです。むっつり黙り込み、普段の振る舞いさえ怪しくなってきた一郎に、家族の味方はありません。




一郎の味方になったのはHさんだけだった様です。同程度のインテリであり、一郎が激昂して叩いてきても、怒鳴っても、Hさんはそんなに気にしない様です。友達なんだなと思います。

二郎達は一郎を、兄だ長男だ、夫だ父だと包囲するから、一郎が困るのであって、彼の激昂は実に単純な原因だったのかもしれません。もっとも、彼くらいの地位と収入のある男が、「本当の自分を受け入れて欲しい」とか願い出したあたりで、二郎達の理解と許容から飛び出してしまったのだと思います。

直は、二郎とは何の責任のない関係だからふざけ合うのであって。もし二郎と直が最初から結婚していても、悩むのが二郎に代わるだけで同じだったでしょう。二郎は兄を裏切り、兄嫁の直と戯れていればいいと思います。

(二郎と直の不義を疑うのが、一郎最大のヒステリー、精神崩壊の様に劇中で書かれているが。彼の妄想は事実だったのではと思う。漱石好みの設定だし、宗助とお米の例もある。)

...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: