madeingermany

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...... 2017年05月16日 の日記 ......
■ 的外れ   [ NO. 2017051601-1 ]

■GW中、立川駅で食べた駅そばが美味しかったのを思い出しました。特急が混んでいて、おまけに目当ての駅にとまらない事に気が付き。立川駅で休憩を兼ねて降り、ホームで食べました。構内のお洒落なカフェや、座席のある蕎麦屋はイベント前後だとカバンが大き過ぎて寄りにくいです。安い上に電車を眺めながら食べる、気を遣わない駅蕎麦が好きです。



■以下、的外れである事を願います。


「英国人の素敵なお家」みたいな本を読んだ。お伽噺の様な美しい家や、古城、瀟洒な運河沿いの家並みなどの話に萌えた。群馬県にないものと言えばそれまでだけれど、「海外の素敵な暮らし」的な本をたまに読みたくなる。

大体「欧米の素敵な生活」の類の本には、「勘弁ならない日本の暮らし」的な話が収録されているのではと思う。日本の男は家事をしない、女性ばかりキッチンに立って不平等この上ない、土地も家も高い、家を建てるにせよ借りるにせよ、夢もへったくれもない等。

「欧米の素敵な暮らし」を読みながら、恐らく23区内のよく分からない都民の暮らしの一コマへの怒りを読まされるわけで、正直困る事が多い。

だが、「普通の日本」というものに怒り、辟易、嫌悪に近いものがなければ、「ロンドン郊外のお洒落な夫婦の一日」なんて執筆するのだろうかとおも思うので、もうこの辺はセットなのかもしれない。間違っても、日本の全てに満足していれば、英国の紅茶文化だの、フランスのカフェだのに無暗な夢は抱かないだろう。



そんなら日本の伝統的な家、暮らしとはなんだろうと思う。恐らくこればかりは、23区よりも群馬の方に色濃く残っていると思う。


・夏目鏡子さんみたいな暮らし。夫に甲斐甲斐しく仕え、夫と喧嘩していようとも、夫に精神的な問題が見受けられ、周囲に離婚を勧められようとも、決して夫を投げ出さず、うるさい夫の弟子達にも愛想よくし、彼等に借金を踏み倒されても、大勢の子供を生み育てる暮らし。

鏡子さんと漱石の関係に何もいうものではないけれど。中流インテリ階級の妻として、鏡子さんは女中を雇い、古めかしい小さな家で主婦をしていたと思う。

日本の家屋の特徴は男尊女卑で。女は三従の教え、実父に仕え、夫に仕え、息子に仕えるのが日本の戦前までの伝統であり、戦後以降実はこれといった共同幻想が形成されていないので、ある程度形になった「日本」と言えば、二次元向けの「ナデシコ」的な女性像しかないのではと思う。



ほぼ現代の日本において、女中さんというものは存在しない。鏡子さんが大勢いる家族の面倒をワンオペで見ていたはずはなく、いわゆる伝統的な家を描いた細雪には、お春達奉公人が登場する。

伝統的な日本のある程度の階級にいた御婦人、ご家庭には、春琴抄の如く一定の奉公人があったと考えていい。英国の事情は知らないけれど、誇るべき日本のマナー、文化があるのだとすれば、谷崎ではないけれど、もうとっくに滅んだ上に再生不可能な幸子達の暮らしだろうと思う。



幸子達の思う「身分の上下」が、ことに戦後の今となっては意味をなさない様に。日本の暮らしにおける美徳等は霧散していると思う。だって優雅でお綺麗な暮らしなんて、幸子くらいの経済力がないと維持できないし、いわゆる「英国の素敵な暮らし」を読んでしまうような、夢見がちな人には生涯体験さえ出来ない生活だと思う。(すいません、あくまで竹淵を指します)

海外の素敵な暮らし的な本を書く人の気持ちは、分からないけれど。日本人は焼け野原になった事さえ健忘して、いもしないナデシコ的な女性像を求めて、いまだに彷徨しているのかもしれない。ちなみに英国は、二度の大戦の戦勝国だ。

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