■大菩薩峠を半分以上読みました。非人情な竜之介を、誠実な兵馬が斬って捨てる話だったんだろうなと思いましたが、初冬の白骨温泉の情景で幕が下りました。
多分、この先読んでもいわゆる盛り上がりはないんだろうなと思います。盛り上がりとは、恐らく人間関係上の執着の事で、仇討なんてその最たるものだったと思います。大菩薩峠の中には多くの人物が登場しますが、余りお互いに関心がないようです。
白骨温泉で、お雪が自分の妊娠に気が付く描写があります。時間が流れないので、その後の事は分かりません。ことは竜之介と出会って早々だったと思いますが、この作品にそういう意味で真面目な男は皆無です。妻子を顧みないのを自慢する男ばかりです。
大志?を持つ男はかくあるべしとでも言いたいのかもしれませんが。別に女性の方も、その男性と結婚したくてしたはずなく、子供もこんな父親だと分かって生まれて来たのではなかったでしょう。
■ナウシカのその後を妄想していました。公式でチククが成人するまでは土鬼にいたとあります。その後、谷に帰ったとか、森の人の方に行ったとか曖昧です。
チククが成人したら、彼と離れたと言う事は。ナウシカはあくまで家庭教師的な立場で、チククの側にいたという事なのかなと思います。成人したチククがナウシカと結婚したいとか言ったとしても、ナウシカはイエスと言わなかったのでしょう。
また、それだけ長く土鬼にいても、ナウシカには浮いた話はなかった、あっても実らなかったと言えます。一見ナウシカは可憐な美少女でも、大人の男よりはるかに賢く、剣の腕も、体術もすさまじいでしょう。ナウシカを敬愛する男は多くとも、その感情は畏敬でしょう。
ナウシカが仮に谷に帰ったら。もう30歳まで秒読みです。ジルが生きていた頃なら、お転婆なお姫様で済んだと思いますが、彼女の使命は、腐海の謎を解く事でも、虫と友達になる事でもありません。ジル夫妻と同じ、後継ぎを生む事です。
11回の妊娠出産と、10回の幼児との別れを、ナウシカも経験するのでしょうか。もし万が一、墓の持っていた技術の中に、人の生存率を上げる技術があったなら、ナウシカは墓を潰した事を後悔するかもしれません。墓に挑んだ時のナウシカに、家族はいませんでした。孤独が彼女を一段と強くしましたが、女性としての運命を彼女はどう思うのでしょうか。
家族と言うものを、一般で言うよりは重要視しない宮崎作品です。本当の意味で、妻となり、母となったナウシカなんて存在しないと思います。風立ちぬの主人公は、非現実的な結婚をして、若く美しい妻を手に入れて、それだけの男でした。菜穂子さんかわいそう、とはよく言ったものです。 |
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