■小説のフランケンシュタインを読んだのですが、何故ヴィクターが人間の死体を不法に集めて、怪物を作ろうとしたのかよく分かりませんでした。
高松の場合、南国での専門は植物らしいですが、食用可のエコロジーな武器とでもいうのでしょうか。生物兵器と言うと、細菌やウィルスを人間を傷つける目的でまくものをさすので、なんか二次創作向きでないなと思います。
高松でも、自分の科学に目的と言うものは一応あると思いますが。(ルーザー様に認められたいとか、キンちゃんのお役に立ちたいとか。愛する彼等にかまってもらえるなら、仕事辞めそうな気もする。医療や科学で彼等に奉仕する事以外、喜んでもらえないと高松が頑なに信じているだけで。)
ヴィクターの目的はなんだったのでしょう。無目的にしては能動的、行動的に過ぎます。誰かのために自分の科学を役立てようという思いがゼロらしいのは、怪物の製造、誕生を一切周囲に秘密にしていることから分かります。科学のための科学と呼ぶには、怪物の材料を夜な夜な求める彼は行きすぎです。
ヴィクターの目的は不明ですが、メアリ・シェリーが力を入れたかもしれない描写があります。ヴィクターが自分の作った怪物に、追跡される後半の描写です。怪物は幼児や女性を死に至らしめますが、父であるヴィクターにはなかなか手を下しません。
ヴィクターが怪物をののしるだけなのに対し、怪物の思いは急速に洗練されていきます。人間の友人か、異性の伴侶が欲しいと願う彼には、普通の人間と同じ心があるように思えます。逆に怪物から逃げ回り、心配してくれる周囲を戸惑わずだけのヴィクターは、実に不誠実です。
フランケンシュタインは、「怪物に襲われる青年」の話と見せかけて、「(怪物の)自分をこの世に送り出した全てへの恨み節」の物語なのが恐ろしいです。ヴィクターが船上で死ぬ時、怪物もまた氷上に消えます。もしかしたら怪物の存在自体、青年の妄想だったのかもしれません。
「自分は周囲に愛されるはずのない醜いものだ」という恐怖が青年の中で暴れ出し、勝手に分身を心の中で生み、妄想の手足になって弟や友達、妻を手にかけたのかもしれません。そう思うと、「親兄弟婚約者友達から嫌われているヴィクター」という、劇中ではありえないものが見える不思議。
南国&PAPUWAでアラシヤマの、生んでくれた両親も、見守ってくれる師匠も、声をかけてくれた級友もあったのに、内面的な理由で落ち着けない所は、ヴィクターの恐ろしい実験を始めた前の心境と近いかもしれません。
アラシヤマの場合、周囲に理解されにくい発火を繰り返してしまい、自分の妄想だったはずの「疎まれる自分」が現実化してしまった悲しさがあります。ウマ子ちゃんやコージなら、気にしないでくれるのでは。 |
|