■シンタローには、親愛とライバル心を抱く相手としてマジックがいます。息子として父親を越えたい気持ちもあり、自分が新総帥として頑張れば、自ずとマジックが(シンタローから見ればやむを得ず)苦しめた人も浮かばれるのではという思いがあるのかもしれません。
愛する人の罪滅ぼしに人生をかけるのなら、南国の頃のシンタローと変わっていないのかなと思います。
キンちゃんもシンタローと似ています。愛情と反発心を抱き、同時に自分の心の支えであるルーザー様と、高松がキンちゃんにはいます。自分が幸せでいると、相手も幸せを感じてくれるのって、いいなと思います。キンちゃんが皆とやっていけるのなら、ルーザー様も高松も、とても喜んでいるでしょう。
付き合いが短いはずのシンタローとキンちゃんが割と相性よくやっていそうなのは、そういうシンパシーをどこかで感じるからなのかなと思います。
グンマにはそういう目指す相手、心理的に一体感のある人、自分の鏡の様な人がいるのかなと昨日から考えているのですがまだ名前が出て来ません。人間を苦しめるのって、マズロー的に承認欲求、社会・愛の欲求のあたりだろうから、その辺にグンマが無縁なら少し羨ましいです。
■マズローの5段階説の三角形を見ると、上に行くほど狭くなっています。フランスで言えば、平民・貴族・聖職者の様な図です。
上に行けないじゃないという絶望の図に見えますが、マズローが言うには、生理的欲望から順に積み上げたピラミッドは、面積の大きいものほど満たされやすく、精神的な欲求へ段階が上がりやすいのだそうです。各層の面積は、所属できる可能性の図ではないのだそうです。
美食に意義を感じる場合とか、安全なのはもとより、快適な家に住むと言う欲望が強い場合、ピラミッドのどこにその欲求が存在しているのか、よく分かりません。衣食住への贅沢なんて限りなくわくでしょうし、精神的な高みを求めて、断食みたいなのをする人もいるんだろうなと思いました。
■江戸時代の将軍の子供達は、乳母や周囲の女性達に心を開き、慕い、馴染んでしまうのを避けるために、覆面をした女性にミルクをもらっていたと聞きます。
顔の見えない女性からミルクをもらい、世話をされても、子供は懐かないから、余計な人間関係を生じさせることなく、後継ぎの育成が出来たのだのだとか聞きます。徳川家光と春日局の関係を思うと、そうたびたび春日局の様な乳母が現れては政治が荒れそうです。
歴代将軍の奥方たちも、影響力のなさそうな所からあえて選ばれていたそうです。完全に男性主権の世界だから、300年近く長らえたのかもしれません。
パプワの青の一族も、男性主権で経営を強行する事自体はある事だと思います。マジックのはるか前の代は、江戸時代の様な感じだったのかもしれません。
グンマが一向に周囲に、現実的な恋着を示さないのは、その辺の名残なのかなと思いました。高松はどんなに熱心にグンマの面倒をみたかもしれませんが、彼の愛は匿名的な愛です。覆面をした女性からミルクをもらうのに似ています。
高松はグンマにとって、「ただの親切な男」でありたかったのだろうと思います。グンマには何も知らないまま暮らして欲しかったのでは。自分が先に死んだら事実まで墓に持って行き、「ヤケに親切な男がいたな」くらいの認識で思い出してくれればよかったのかなと思います。 |
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