madeingermany

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...... 2017年12月04日 の日記 ......
■ それから   [ NO. 2017120401-1 ]

■南国でカムイが「若くて美しい男が必要だ」と言った時。主要キャラは大体名乗りを上げました。マジック、サビは絶対手を上げる場面ですが、高松はグンマを推薦すると言う方法で、皆について行こうとしました。

普段の高松を見ていれば納得の行動です。しかしあの自信家で、ハイスペックで、バリキャリの高松が、自分の容姿についてノーコメントなのが意外です。男性らしい長身に、豊かな黒髪、体力も十分あるだろうに、「若さと美しさ」には触れたくない様です。

昔から、お姫様の様な容姿のサビと友達をしていて、美しいサビや、ブロンドにブルーアイズのマジック、ハレにルーザー様が夢中になっていたのに、我知らず傷ついていたのかもしれません。キンちゃんも容姿に自信がありそうな子ですが、高松は彼等の美貌を技術で支えるだけで満足しようとしていそうです。

高松らしいと言うか、その辺のコンプレックスが高松を駆り立てているのなら、永遠に彼は幸せから遠い所にいそうです。



■昔漱石のそれからを読んだ時。代助が財産も家族も捨てて、三千代にのめり込んでいく姿に酔いしれました。白百合の花束を買って、昔三千代の兄が生きていた頃の思い出に浸る代助はエロチックです。

漱石の文章は、康成の様な分かりやすい純和風の色気でもなく、谷崎の様に東西の色香をむさぼる訳でもなく、電車で美少女と偶然乗り合わせたラッキーさの様な助平さがあると思います。ラッキースケベ的な方向だと思います。



それはさておき。代助は無職です。資産家の父と兄のお金で贅沢をしています。父と兄の事業に代助も参加しないのかと言えば、当時の帝大生の卒業年齢が高いせいもあるのか、一緒に働く事はなさそうです。

無職の代助が、父兄からの財産も縁も捨てて、三千代との愛に走るから、それからは魅力的です。しかし、三千代は平岡と結婚しているので、全ては代助の身勝手です。代助が無職でいられるのは、父兄の財産の力です。なのに代助は、「日本が悪いから自分は働かない」「食うために働くのはダメ」と言います。




食うために働くのは高尚でないからダメと言うなら、高等遊民の代助が働けばいいと平岡が言います。「日本が悪いから自分は働かない」と言うのは、ちょっと変だと三千代も冒頭に近い方で指摘します。

三千代も平岡も、無職の代助を友人と見なしながらも、警戒しているふうがあった気がします。代助も社会人になった平岡と壁を感じます。働かず、結婚もしない代助は、作品冒頭で既に社会と隔絶した暮らしに落ち込んでいます。




三千代は代助の暇つぶし、寂しさを紛らわせるためのヒロインでした。代助に応じた三千代は、代助よりはるかに差し迫った暮らしの問題や、平岡とのいさかいを抱えています。代助に「そんなのちょっと変だ」と言えた時、平衡感覚のあった頃の三千代が好きです。

自分も最近どこかおかしいです。心臓に手を当てて、血を流す役割をしないで、ただ心臓が動いていたらいいと思います。三千代がいたら、そんなのおかしいわと言ってくれそうです。平岡なら、私に実直に働きたまえと言うのでしょうか。

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