■水村美苗の続明暗を読んでいます。重苦しい描写が続きますが、漱石の明暗を分析しているなと思う個所が多く、安心して読めます。
湯河原の津田を追って、延が駅から旅立ちました。今だと東京から二時間しない旅ですが、延の頃も、日帰りが可能な旅程だった様です。延の思いが津田に通じればいいと思います。
人妻大好き、処女はもっと大好きな漱石の癖がこれでもかと明暗に出ています。津田と漱石は未婚時代の清子が好きで、人妻になった清子はもっと好きなのでしょう。もし清子と結婚していたら、ゴミの様に彼女を扱うのに。吉川夫人のツバメ生活も、津田と漱石には至福過ぎて止められないと思います。
軽快な小説として有名な坊ちゃんも、目玉の出来事は「マドンナがうらなり君を捨てて、赤シャツと結婚を決める事」でした。うらなり君を自己同一視した坊ちゃんは、マドンナの夫になる赤シャツをストーカーし、リンチします。漱石の好みはこの時点で既に濃厚だと思うと、延の運命は暗いです。
■某所で南国とPAPUWAの話題が出たので、自分も考えていました。南国はシンタロー、マジック、コタの話です。
シンタローが世界征服を目論む悪人に堕ちてしまった父親を、殺害する最後でもおかしくなかったと思います。マジックの重ねてきた悪い事は、彼の死で償うしかない規模のものだから、自分の息子の未来を切り開く意味にもなったと思います。
しかし南国はアニメ後に数巻分話が進んでも、これと言って進展がありません。番人が、サビが、ジャンがと言っても、南国がずっと抱えて来た単純な問題、「シンタローとマジック」には切り込んでいません。
原作者の限界だったのではと思います。自分のアバターであったシンタローが、「若く美しい権力者の男」に恋人のように溺愛されるシチュエーションが止められなかったのでしょう。細かいキャライジメ・キャライジリが好きな原作者だなと思っていますが、いつも決定打に欠けます。くすぐり・おさわりで燃え尽きています。
代わりに、アバターのアバターみたいなキンちゃんが登場し、急ごしらえの悪役としてルーザー様が出て来て、父子で殺し合い、南国の最終回代わりにしています。余程のキンちゃん好き、ルーザー様好きでないと燃えなかった、置いてきぼり状態、ポカーンだったろうなと思います。
ルーザー様が思い切りのいい行動に出られたのは、高松がいるからだったと思っています。シンタローがマジックを殺せば、シンタローとコタは父親を失い、罪悪感を負い、孤独になるだけです。彼等には母親もいません。キンちゃんも父親を失った訳ですが、高松がいれば、ルーザー様の希望する方へ彼を向けさせる事が出来、寂しくとも孤独を嘆く事は少ないでしょう。
南国&PAPUWAについて、自分の萌えどころは高松のポジションです。ルーザー様もキンちゃんも、自分の思う様に行動しても、高松は決して否定しないと信じていそうです。 |
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