■漱石の書く男性キャラは大体不誠実ですが、女性は被害者的立場になる事が多いせいか、引き締まった描写になっています。しかし門のお米の様に、三度の流産をサラッと書いてしまうのは、やはり漱石が男だと言う事なのかもしれません。
続明暗の延は、妊娠していなかった様です。子沢山の漱石なので、妊娠出産育児の現場を他人事のように模写する事が多いですが、流石に続明暗の作者は、延に対し、「夫の裏切り」「周囲からの孤立」「未来への不安」等に重ねて、子供を失う事までは加えなかった様です。
細雪に、幸子が流産をする場面がありますが、松子夫人が驚愕した程、ありのままの描写だそうです。谷崎らしいと言うか、作家なんだなと思いました。
貧苦をテーマにした小説を多く書く作家が、実は実家が土地の大地主で、乳母や女中、使用人に崇められて育った男だったとかよくあります。作品=作家本人ではない、とはよく言ったものだと思います。
■原稿をしながら、ラジオCDを聞く事が多いです。大好きな声優さんのトークはとても楽しいです。先日、遊佐浩二さんと高橋広樹さんのトークCDを聞いていました。
言わずもがな、遊佐さんはPAPUWAのアラシヤマをされていました。広樹さんはPAPUWAのリキッドです。南国のアラシヤマは塩屋さん、リキッドは未登場でした。
南国のアラシヤマの時もそうでしたが、作品やキャラへ感じたモヤモヤを、声優さんの一言が救うと言うのはあると思います。根暗で友達がいないアラシヤマに対し、「落語をしている気分で演じた」と当時塩屋さんがインタビューで言っていました。同じ理由でいじめられていた私は、塩屋さんがアラシヤマに肯定的である点で、とても救われました。
今回聞いたラジオCDで、PAPUWAの事が話題に出るとは思っていませんでした。10年以上前に発売された古いものなので、時期的に合っていたのかもしれません。遊佐さん、広樹さんが話していたのは。
「PAPUWAの原作者の家で、ハチの子を振る舞われた。遊佐さんは遠慮したが、広樹さんは食べた」 「PAPUWAアニメの現場が、遊佐さんと広樹さんが初めて共演した作品である」 「広樹さんいわく、リキッドはとがったキャラ(意訳)」
遊佐さんはアラシヤマについて語りませんでしたが、劇中での美しい京都弁がよかったです。(同僚と上司に無理に島に行かされ、コタから誘拐犯扱いされ、石像にされて海に沈められるキャラについて、多くを語って欲しいとは言えない、遊佐さんがホストの番組だったし。)
うまく言えないのですが、お二人のトークを聞いて、別にPAPUWAアニメは、タブーでもトラウマでもないのだという、安心を得ました。南国も声優さん、スタッフさんの熱意のあるいい作品でしたし、何かと恵まれているパプワ世界だったと思います。 |
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