■お陰様で春コミにサークル参加して参りました。サークルスペースに来て下さった方、ピクシブ等で見て下さった方、ありがとうございました。
次のサークル参加は7月のガン流の予定です。新刊は受かれば夏コミでの発行を考えています。今後ともご贔屓に預かれれば幸いです。
時間がとまった様な、ルザ高とキンちゃんが書きたいです。青の一族の家庭問題に、侍医や家庭教師、部下として訳もなく乗り込む高松が好きですが、高松だけの「家族」があってもいい気がします。
竹淵
以下、いつもの日誌です。まだ宮尾登美子の作品を読んでいます。雑感を書きます。絶世の書き手の一人である事を否定するものではありません。
・最初に読んだ「蔵」でも感じたのだけど、ヒロインの出生や、ヒロインの母世代の事が序盤にタップリ書いてある。面白いし、世相的なもの、触れたことのない歌舞伎の世界や、酒造の暮らしなど書いてあっていいのだけれど、ふと物語がヒロインの青春や恋、結婚、その後の暮らしなどを読む分になると、途端にはしょられる。
・小説一冊書くのに、家一軒分くらいの資料を用意して書くそうだから、もともとの情報量からすれば、序盤の「ヒロインの生まれ」等は相当圧縮されている情報なのだと分かるが、如何せん、ハードカバーの本の半分、ないし上下巻の上巻を読み終えて、まだヒロインが少女のままだったりすると愕然とする。
・面白ければいいと思うが、「きのね」には困った。歌舞伎の家に嫁いだ、貧しい女中さんのお話なのだが、ヒーローと結ばれるまでにハードカバー一冊分、さあ幸せな結婚生活が読めると思いきや、どんどんヒロインは老いていき、気が付いたらおばあちゃんになって亡くなっていた。
お蔭で「きのね」の印象が、「ヒーロー役の歌舞伎役者は、最初に結婚した奥さんの近視のメガネを何本も割り、哀れな女達に殴る蹴るの暴行をして平然としていた」印象しか残らなかった。ヒロインからしてヒーローから、くだらないことで二階の階段から突き飛ばされて落ち、頭から落ちている。
もうちょっと幸せな描写がないと、「偉そうなDV男と、自己陶酔型の女の話」になってしまう。が、読めども読めどもそういう男女の話だった。「蔵」の烈の異性関係はそこまでではないけれど、例にもれずヒロインの恋、結婚、その後の話になるとはしょられる。「男の愚かさ、女の哀れさ」みたいなのは何度も書くのに。
今読んでいる「天涯の花」のヒロインもよく分からない。ヒロインは孤児とはいえ、施設の職員や、養子先、ご近所の人達は本当に親切だ。ヒロインと真面目に結婚したいと思う男性もいるのに、ヒロインは既婚男性に転ぶ。多分、施設の職員から受けた様な「あわれみ」が嫌で、「自分だけの人生」的なものに憧れているのだと思うが、本当にこの作家の女性達は、親切のし甲斐がない。
人から同情され、守られて生きるくらいなら、あえて恥も危険も顧みないで、果敢に生きようと思うのはいいと思う。しかし「きのね」でもやはり真面目な男を捨て、DV男に走るのが宮尾ヒロインだった。どんな高尚な事を仕事にし、何かの専門家だとか、お金持ちだとか言っても、全く尊敬できない男しかメインには出て来ない。
「天涯の花」も、要は清純なヒロインの一世一代の恋が書きたいのかなと思うが、何故不倫にしたのだろう。高山植物がどうとか、山の中の神社がどうとかの描写が素晴らしくとも、やはりただの女の話なんだなと思った。井上靖なら、ウンチクとキャラクターのバランスが違ったのかもと思う。 |
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