madeingermany

[PREV] [NEXT]
...... 2018年04月05日 の日記 ......
■ グンマ様   [ NO. 2018040501-1 ]

■宮尾登美子のクレオパトラを読んでいます。昔読んでいた、数多のライトな歴史物を思い出しました。即興で戦に出たり、色仕掛けで歴史が動いたりと、今にして思うと突っ込み所満載でしたが、意外と深く、ちゃんと「次」に読むべき本へ向かう気にさせる作品が多くありました。

例えば新選組のものも、どれだけライトになっていても、ひしひしと隊士達への愛が分かるものが多かったです。自分も気が付いたら、日野、京都、会津、函館と20年くらいかけて回っていました。歴史物のキモは、ライトかヘビーかではなくて、ソウルだと思います。

「クレオパトラ」は、政治家であるはずのクレオパトラのリアクションが、例えば「きのね」の女中さんとほぼ同じで驚愕しています。「女の気持ち」的なものを書きたかったのだろうと思いますが、それだけなら舞台を大がかりにしたり、ヒロインのモチーフにカリスマを持ってくる必要はないのではと思います。・・・・つまり、いつもの宮尾作品です。



■以下妄想です。


・南国高松は、グンマをどうしたかったのかと思う。南国グンマは高松の真意を知らないから、何となしに寂しそうな高松を見て、優しい気持ちから「あんまり色々聞かないでおいてあげよう」と思ったのかもしれない。

グンマは、まるで複雑な家庭の事情の中生まれた子供のように、グンマなりに高松を守ろうとしていたのだと思う。高松を刺激しない、高松が嫌がる事はしない、高松の喜ぶ事があるのなら、それをする等。



高松は、そんなグンマの見えない優しさを全部裏切った。南国でグンマが可愛いなら、グンマに嘘をついている苦痛故に、本当のことを話さなかったのかと思うが、何一つ高松は話していない。グンマが「自然に」何か聞き出そうとしても、逆にグンマの優しさにつけこんで黙っていたのだと思う。

高松ならどんなデタラメも言えただろうが、ルーザー様に関しては黙秘を貫くあたり、本当に意固地だと思う。まるで「憎いマジックの息子に語る事は何一つない」という意思表示なのかと思う。




グンマも高松が「ルーザー博士について話さない」事を知っているため、あえてシンタローやミヤギ達の前で、自分の父親の事を聞いたのだと思う。ジャンと言う闖入者もあったし、高松も(いつものように)誤魔化せないとグンマは踏んだのだと思う。

キンちゃんと同じ島にいた高揚からか、高松はグンマに亡き博士の事をほんの少しだけ話した。グンマやシンタローに聞かせるためではなく、側にまで来たキンちゃんに聞かせる演習だったのではと思う。グンマにルーザー様の事を聞かせても、「こんないとしい人を殺したのは、貴方の父君だ」としか高松は思わないと思う。



南国高松がグンマに望んだのは、空っぽであれという事だったのだと思う。お友達も、家族もいない、高松以外の教師もいないと同然に過ごし、無為に過ごす事だったのではと思う。

グンマは無縁坂のお玉の様に、助けてくれない男達(シンタロー、キンちゃん、マジック、コタ)を横目に、高松を待つしかなかったのかもしれない。もうグンマは高松を待つことなく、ドイツにでもどこにでも好きな男達と行けるのだな、と南国が終わって思った。(でもドイツなんて医者の高松には庭みたいなものだ)

...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: