madeingermany

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...... 2018年05月01日 の日記 ......
■ ピラミッドケーキ   [ NO. 2018050101-1 ]

■ルザ高の小説を書いています。ピクシブ向けでないなと思うので、夏の本に直接入れようと思っています。書いていてルーザー様みたいな人って、結構知っているなと思いました。主に自分とか。

多くの場合は、自分の「意地っ張り」をどこかで訂正しながら折り合いをつけつつ生きていくのだろうと思います。ルーザー様の場合、生まれて初めてジャンの暗殺の件で、自分の「意地」と兄弟と言う「他人」が衝突したのだろうと思います。ルーザー様には驚天動地だったでしょう。

無垢なまま23歳まで彼がいられた事をことほぐべきか、高松の様に性格を複雑骨折させてまで、自分の(恋愛と言う)意地を確保するのが幸福なのか、私には分かりません。でも彼には生きていて欲しかったです。



■自分が過去、文学部に進んでおきながら、日文や中文に行かなかったのは、作家論がよく分からなかったというのが理由の一つにありました。漱石の作品にドキドキしても、「夏目金之助さんとは」という事に迫る本を読んでも、同じドキドキが体験出来なかったからです。

人生そのものが作品とでもいうような男の場合ならあれですが、大体の場合は、その時々の経済状況や、人間関係、歴史的背景等に左右されます。世間の荒波から全く隔絶されたような階層の作家もあろうかと思いますが、清廉なイメージの作品で有名な人の女性関係とか、これは知らねばよかったと思う事が何度もありました。



作品がヒットしてお金が入って来て好きな事をし出す人もあるでしょうし、生活が苦しくて、もう好きな事しかしない人もあるでしょう。太宰とか志賀とか安吾とか、生来大金持ちの男達も日文ではキラ星の如くありますが、多分作家論を読んでも自分はピンと来ないかもしれません。

ふと中島みゆきの歌を聞いて。若い時の歌のイメージと、ここ数年の歌のイメージに大きな違いがないのに驚いています。成功してお金持ちになって有名になって、それでも作風が左右されない場合もあるのかもしれません。聞いていてギョッとする時があるので、主に運転中に聞いています。昔、中島みゆきの歌を私室で聞いていて、歌と一緒に落ち込んでいったことがありました。



■よく谷崎を読む理由の一つに、食べ物の描写が美味しそうと言うのがあります。高級魚や、凝ったお寿司の味は想像出来ませんが、お菓子くらいなら何とかイメージできそうです。

他の作家だと、若い頃は多種多様だった「好み」が一定になって行って、「成功してお金持ちになって、好きな事しているんだな」と読んでいて思ってしまう時、若干困ります。読みたいのは、贅の限りを楽しんでいるキャラ達であって、作家の私生活内の贅沢三昧を知りたい訳ではありません。



細雪に、幸子達の家の隣人としてドイツ人の一家が出て来ます。洋食も好んで小説に出して来る谷崎なので、いくつか食品が細雪にも出て来ます。彼等がドイツで食べると言う街頭で買うアイスクリーム、日々の「食卓」、そして幸子達の家の隣に引っ越してきた時に配った、ピラミッドケーキがあります。

一家がドイツに帰る時、「お菓子の作り方などをもっと教えてもらっておけばよかった」と幸子宅で述懐されます。そんなにくだんのピラミッドケーキは美味で、夫人の手焼きの菓子は素晴らしかったのか、とピラミッドケーキとは何ぞやと思いました。今でいうバームクーヘンの事だそうです。熱海の菓子店のモカケーキの様な、たっぷりした感じの洋菓子が谷崎の好みだったのかなと思いました。

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