■どうして高松が、ルーザー様について「恩をお返ししている」という姿勢なのかと、数年考えていました。愛で恋でいいじゃない、他のキャラはそんな建前言わないよ?と思っていました。
しかし南国の「グンマ様はルーザー様の御子息」という短いフレーズの中には、「ルーザー様は既婚」という意味合いがあります。ルーザー様が他界したにせよ、その子供さんと言うプライベートには、原則高松は関われません。故に、昔気質に「ルーザー様にはお世話になったから」と高松は言い続けたのでしょう。
同性で既婚で身分も違う男に、愛や恋を夢見る事の困難さを、いちいち気にする高松が好きです。そんな羞恥心が南国の高松にあったのか、グンマには本能むき出しじゃないかと言われそうですが。
高松が、倫理観や羞恥心というリミッターを外すとどうなるのかと言うと。「(私を見て下さいと言わんばかりに)すねて逃げる」のだろうと思います。初犯ではないでしょう、ルーザー様にもよく「すねて」いたのでは。
南国のグンマに対しては、能動的に振る舞うぶん、まだまだ高松は猫をかぶっていたと思います。本当は、愛するより愛されたい人なのかなと、キンちゃんとの関係を見ると思います。
■山形雑感の続きです。仙山線には乗った事がありませんが、近くまでは最近行きました。ふと思うのは、おもひでぽろぽろの行程が、行きが上野発の夜行列車である点です。
行きは寝台車で、一気に夢見心地で山形に行き。帰りは、ヒロインが夢見た「田舎」のなかを淡々と走る在来で、「とぼとぼ」と言ってもいい感じで出ていくのは、計算済みのことでしょうか。ハイテンションでトシオと蔵王に行ったタエ子とは別人の様になっています。
トシオは、かなり前からタエ子が気になっていたのでしょう。早朝に駅までタエ子を迎えに来たり、面倒くささを出さないで、田舎だの農業だのについて優しく明るく話し、タエ子の山形滞在をずっと盛り上げてくれていました。
田舎で、「未婚の男女が一緒に日帰り旅行に行く」怖さを、タエ子は全く考えていません。多分トシオは、もっと親しくなろうとして夏の蔵王に同行したのでしょう。下心を出さず、明朗に彼女にエスコートした彼は立派です。そのトシオを、ただの観光ガイドとしてしか扱わなかったタエ子はどうよと思います。
自分はタエ子のような子供ではなく。好きになってくれた男子も、噂になってドキドキするような甘酸っぱさも経験した事がありません。むしろアベくんの様な存在でした。だからなのか、おもひでぽろぽろのタエ子の上から目線が非常に気になります。
彼女は末っ子で、上の姉2人は美人で優秀なのだそうです。「私は普通じゃない」「私は風変わりで孤独なオンナ」と全身全霊でタエ子は泣き叫んでみる割に、トシオ他異性や、山形と言う田舎、農業と言う異世界を目下に見る事で、せいせいした思いをしています。遠縁の家に行けば、チヤホヤしてくれますし。
なんでタエ子が、ハワイやグアムではなく山形を目指したかと言えば。「行き遅れ」「普通じゃない」タエ子がそんな所に行けば、若くてホヤホヤの新婚さんに囲まれ、休める訳ないから、「マウント」の取れる場所に行きたくなったのでしょう。会社の上司が言うように、タエ子は人生に失恋も同様の惨事を味わっていたのだろうと思います。(未婚25歳で「売れ残り」扱いの時代) |
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