■漱石の猫で、苦沙弥先生が幻聴と妄想に襲われる描写が何回かあります。「周囲が自分をいじめている」等、先生にすれば焦眉の急が起きています。故に先生のパニック的な行動が頻発しています。
何かの批評によると、自分の幻聴と妄想を漱石は疑っていなかったと聞きます。行人の一郎が、「妻と弟が深く愛し合っている」と信じて疑わなかったのを思い出します。Hさんは「一郎が清純で明晰だから」と大らかに一郎の苦悩を抱きしめてくれます。
漱石は「日本の未来」を憂うるような超知識人だったので、その頭の中は庶民には分からないだろうと思います。漱石の幻聴・妄想のお蔭で、沢山の小説が編まれたのだと思うと、なんか複雑な思いです。
■高松(趣味・園芸)ではないですが。花屋で買ったシクラメンを一か月ほど世話しています。シクラメンは冬でも鮮やかな色を見せてくれる大好きな花です。しかしながら家の内外が寒すぎて、花に気の毒な事になっています。
「室内の温かい所に置こう」と育て方の手引きにあるのですが、家の中が既に寒いです。灯油ストーブの燃え盛る部屋に置くのは花に厳禁です。朝と昼はキッチンのテーブルの上、夜間は段ボール箱に入れています。
人間より、シクラメンの方が繊細の様です。自分でちょっとでもシクラメンを世話して見ると難しく、園芸農家の方のかけられた手間の大変さを思いました。
高松は亜美ちゃんから、人でなしの、デタラメな嫌われ者のダメインテリの様に書かれがちですが、花を種から咲くまで世話できるのなら、高松は大した男だと思います。(亜美ちゃんの描いていた、難のあるインテリ達が人くさくて頑張り屋で好きなのだが、亜美ちゃんが何と思って彼等を描いたのか寡聞にして知らない。)
■郵便局で、コミケ搬入のため、ゆうパックを出して来ました。あとはゆっくり小説でも書きながら、二週間ばかり過ごそうと思います。
こういうゆったり感を裏切る様に、自分が蒔いた何かが発芽している気がします。元来注意力の足らない人間なので、ケアレスミスが多いです。
昔、職場の先輩が私のケアレスミスに気が付き。私がのうのうと有給休暇をとっていた一日の間に、先輩が私のした書類仕事を全部ひっくり返し、「ミス」を洗い出していたのには、脳天を打ち砕かれたような感じがしました。
先輩が正しくて。「休養を取ってミスを減らす」では追い付かないから、「竹淵の仕事を別の人の目で確かめて、しでかしたミスを洗い出す」のが正しかったのです。ただ自分は、自分の労働が先輩の負担にしかなっていなく、お客様に奉仕だの、勤労の喜びだの一瞬でも目指したその頃の自分を、拳銃で撃ち抜きたくなったのです。
結局その部署から異動になり、現在に至ります。同じ仕事を複数の人で行うシステムの部署なので、エラーが起きるとすぐ分かるようになっています。
脳天を打ち砕くだの、拳銃で撃ち抜くだの言っている奴に限ってしない訳で。世間から見れば私は甘いのでしょうが、甘いなりに一生懸命何かすると、疲れとストレスで通院が始まりそうなので、やはり「二週間ばかりの休暇」を過ごそうと思います。 |
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