■また一週間ほど、通院する事になりました。大事じゃないにせよ、もう少し自分を労わろうと少し思います。
■司馬遼太郎の街道をゆくを読んでいます。20数巻目でして、折り返しから大分来ました。最初は関東の事も出ないかな〜と軽く考えていましたが、今は考えていません。本当に自分のフィールドのある作家さんなんだなと思います。
街道をゆくの印象として。司馬遼太郎が住んでいた大阪に触れる事が多いのはなりゆきとして。次に多いイメージがあるのが、九州、朝鮮半島全域、奈良、滋賀、和歌山あたりなのかなと思います。同じテーマが何度となく出て来ます。
司馬遼太郎は学者じゃない、作家だと20数巻読むと分かった様な気がします。学者とは、必要があれば、自分が不得手でも興味の薄い所でも突進するものだろうと思います。編集者や読者からのあれはあったにせよ、自分のフィールドから出たがらない司馬遼太郎は、学者ではないと思います。
■細雪の妙子について。彼女は雪子と前後して結婚しているのですが、誰も妙子の結婚を知らないと書かれています。結納だの挙式だのしなかったからではなく、奥畑との金銭関係が、辰雄や鶴子にばれた時の勘当のための様です。
勘当、義絶と言うと奥畑もそうなのですが。奥畑の場合は、満州に行くなら勘当を解こうという兄からの持ちかけがあります。男の奥畑には家族から再起のチャンスを持ちかけられるのに、妙子には一切そんな話はなかったと思います。
鶴子達は、妙子に「お金を稼いではダメ」「勝手に結婚してはダメ」とガミガミ言う割に、妙子に何もしてやっていないな、といつも細雪を読むと思います。そりゃあ奥畑にたかるしか妙子はなさそうです。
妙子も、雪子の様にお嬢様暮らしをしていればよかったのかと言うと、そうでもないんだろうと思います。カネがかかり過ぎるのと、雪子を手本にして生きられる女性なんてあまりいないだろうと思います。それにしても雪子は、何度となく特急「つばめ」に乗っています。そこが自分はとてつもなく羨ましいです。名門特急。
■細雪を読み終えました。雪子の結婚で話が終わりますが、「馬鹿げて条件が良過ぎる」話を警戒していた幸子達の姿はありません。帝国ホテルで、華族の家柄の子弟を結婚というあたりをスルッと受け入れているあたりが、幸子達らしいと思います。
当然費用は、蒔岡方は貞之助持ちなのでしょう。大勢の親類を集めての大体的な結婚式だそうです。辰雄では手がでないはずです。幸子達の姉の鶴子は「女性ものの下着が買えない」レベルの困窮ぶりのはずです。雪子の結婚騒ぎに使うカネなどないでしょう。
派手な法事も出来ないし、当時は郊外に近かった渋谷の小さな家で何とか暮らしている鶴子一家と、この立派過ぎる結婚式は、別世界の出来事のように思います。雪子の新婦ぶりとかにはあまり興味がわきません。
恐らく帝国ホテルに来ないだろう妙子、軍需のために金回りがいいという貞之助の振る舞いの方に興味があります。細雪は終わり方が唐突だと言われますが、自分は絶妙な終わり方だと思います。もう蘆屋には、妙子、雪子、お春の姿がないのです。雪子の婚礼の準備中での、物語の終わりしかないだろうなと自分は思います。 |
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