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...... 2019年01月17日 の日記 ......
■ 細雪   [ NO. 2019011701-1 ]

■色々考え事をする時に、荷風の日記が役に立つかもと思います。えらい時局の中、荷風は自分の日記を抱えて疎開などをしたと聞きます。荷風自身の性格等はあれかもしれませんが、断腸亭日乗で見せる荷風の「ゆるぎない」所に安心します。


■司馬遼太郎が書かないので、自分で前橋と高崎の事を書こうと思います。両市ともプライドの高い市だと思います。前橋はかつては生糸で栄え、県庁を有している事で、グンマの顔です。

かたや高崎は新幹線・在来共に充実していて、人口も微増。あとは県庁さえあれば、他県民に小馬鹿にされることなんかなかったのにと言う声もあります。自分も前橋駅周辺の閑散とした所が苦手で、大体の用事は高崎で済ませます。



余所の県の方もそうだと思うのですが。偉い作家さんが褒めなくても、他県の方がどう思おうとも、自分の県が一番なんです。グンマ県民は小さい頃から、上毛カルタを通じてグンマの素晴らしさを知っていきます。

最早宗教と言うか、グンマが一番素晴らしい、安全、住みやすい、グンマが日本の中心、近代日本を作ったのはグンマの生糸、と(県民は)信じています。信仰の自由です。司馬遼太郎が自分の作品のモチーフにした史実等を愛好するのと同じくらい、私はグンマが好きです。



■まだ細雪の話です。

戦前の、帝国ホテルでの結婚式の準備のシーンで、細雪は終わります。今でも帝国ホテルはありますが、まず手が出ないホテルです。ごくたまに帝国ホテルのクッキーなど食べる機会があっても、最早恐れ多くて味が分かりません。

よく分かりませんが、雪子は「オリエンタルホテルがイヤ」と言える女性なので、帝国ホテルにもびびらないのでしょう。実に共感しにくい女性です。挙式は子爵家持ちなのでしょうが、貞之助の軍需関連の収入も使われるのだろうと思います。庶民には全く縁のない婚礼です。

細雪はもともとゴージャスな暮らしを描く小説でしたが、御牧との結婚において、庶民とのレベルの差が最大になった気がします。雪子が見合いで失敗したり、鶴子のはくパンツが無いような「しみったれた」描写が共感出来て好きなのですが、下巻ではあまりそういう場面がないように思います。




そもそも細雪は、上巻冒頭の幸子達のメイクのシーンで発禁扱いされるような、時局を無視した作品です。読者としては、谷崎の創作意欲に敬服し、素晴らしい作品を残してくれた事に感謝するのですが、そういえば別に細雪は庶民に優しい小説ではなかったと思います。

風立ちぬではないですが、「いい暮らし」をしている人々は、どんな時局でもあるのだろうと思います。その後の幸子達が軍や子爵の金で「いい暮らし」をしている姿なんて、読みたくないかなと思います。幸子達が苦労していないとは言いませんが、ゴージャスな婚礼の衣装を着た雪子は、どんなにか庶民の怨嗟を受けかねないなとちょっと思いました。

まさかとは思いますが。疾病、遭難、流産等の辛苦を味わった妙子が、更に戦争のために苦労する話なんて本当に読みたくないなと思います。・・・男の子の多い鶴子は、確実に泣かされる時局だと思います。

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