madeingermany

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...... 2019年04月17日 の日記 ......
■ いとしい   [ NO. 2019041701-1 ]

■文学にも流行り廃りがあるのかもしれません。伊香保温泉には徳富蘆花の展示がありますが、「不如帰」と聞いてピンとくる世代は相当上の人だろうと思います。

結核は死の病、オンナは結婚したら絶対に男児を生んで嫁ぎ先に滅私奉公しないとならない、男は嬉々として戦争に行くべし、等がフツウだった頃の話なので、かなり時代物です。(結婚したら健康な男児を絶対に生めと言うお姑お舅は健在だけと)

あちこち自分は観光して歩いて、文学関連に出会った時ホッとします。康成の越後湯沢、伊豆、漱石の道後温泉、湯河原など行きました。与謝野晶子には、まるで約束してあったかのように、全国の観光地で出会います。

君死に〜のイメージもあり、出自も苦労人なので、いい意味で「みんなの与謝野晶子」なんだろうなと思います。瀬波温泉で与謝野晶子の短歌に出会った時には、本当に好かれる作家だなと思いました。



■余りに冷徹な、野上弥生子の言葉に顔色を失いながら考えました。多分この人に言わせると、私が好きな日文の人達はかなりダメダメなのだろうから、いやでも考えざるを得ません。

「漱石はたった一人のオンナしかしらないのに、小説を書いている」「鏡子さんの金銭感覚はおかしい」「谷崎の書くものは身辺雑記でしかない」等、ウソでもない事を女史は書き遺しています。最早それらが事実かどうかか些細な事です。そういう風に、「いやしく」女史に見えているんだなと言う事の方にギリギリします。



いちいち反駁するのも面倒です。しかし谷崎の場合、別に身辺雑記を書いている訳でなく、「自分が見たい・暮らしたい世界」にどこまでも忠実なだけです。漱石夫妻は、主たる漱石自身の金銭感覚も独特です。(金持ち夫婦のはずなのだが、カネの使い方を教える人に恵まれなかった夫妻だと思う)

漱石と女性については。むしろ延々、藤尾、美禰子、千代子、三千代・・・・と万華鏡のように「女」を残していった漱石の手腕は、認めていいと思います。漱石は自我オンリーの様な小説ばかり書きますが、別に読んでいて苦ではなく、いつも読み終えると夢から覚めた様なスッキリ感さえあります。



それにしても

谷崎 足フェチ 女性へのこだわり 金にシビア
康成 幼女好き 孤独癖 寂しすぎる最期
漱石 金にキツイ人 癇癪持ち 甘党
荷風 守銭奴 玄人の女性が好き 寂しい最期

など、同世代の人が彼等をウオッチしていたら、その作品よりも生態にいちいちショックを受けそうです。野上女史はそういう所にも目が行ったかもしれません。

しかし女史は「若くて有能そうなイケメンが好きだった」という関係者の言質があるので、単にクールでクレバーな女性作家なんだ〜とかは、まだ思わなくていい気がします。

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