 ■金色の髪も青い瞳も、白い肌もない高松が。「ならもし女性として生まれて、真っ向からルーザー様と向き合えたら」と、割り切れない事を考えたら。
多分下手に頭がいい分、相当頭の中がグチャグチャになりそうですが、「そもそも女子に生まれたら、男の園のガンマ団に来れない」「万が一肉体で青の一族の奉仕してもそれだけで終わる」事に気が付くのかなと思います。
「ならば色々な事をすっ飛ばして、ルーザー様の一人息子であるキンタロー様に誠心誠意お仕え出来る今が最高に幸せ」という結論に至る高松。若かろうとミドルだろうと、そんな事を思っていそうです。
そもそも南国を何の下準備もなく読んだら、ルーザー様は既婚者です。多忙で閉鎖的な青の一族にいながらにして、23歳で結婚して父親になったルーザー様は、恋愛結婚だったのか、お見合いだったのか分かりませんが、あのルーザー様が納得した婚姻だったのでしょう。
南国の高松は青の一族に対してと同時に、シンタローとグンマの母親に対しても未成年略取を犯しています。そんな突っ込みを破壊したPAPUWAの設定は、実に高松に優しいと思います。(女親・女系・女手を一切否定した豪快さは特筆に値するが、ミツヤや高松の様な一族の信者がいないと、この家庭は維持できない気がする)
■野上弥生子の言葉として、女である前に人間であれというのがありますが。どうも野上弥生子の人生くらい、オンナを前面に押し出した人生もないだろうと思いました。
豊一郎という健気な男性を、若い頃から思いのままにして。優秀で健康な男児を3人ももうけて。金もメシも家も名声も頑健な肉体もあって。どんだけ好きな事をしていても怒られなくて、夫の面倒もあんまり見ないで。
大人しいイケメン中勘助と「すごいアバンチュールをしちゃった」自負に満ち。後年、結構なインテリのお爺さんと山奥でイチャイチャしたんだから、オンナとして十分この人は楽しんだんじゃないかなと思います。ゲップが出る程、オンナをし尽くした人の言葉では。最早、殺されないマリーアントワネットです。(前橋が丸焼けになった時、この人は同じグンマで(略))
日文には詳しくないですが、まさしく女一匹で押し通した様な林芙美子の方に、人くささを感じます。人くさいのと、女である事は実に近いと言うか。自分の性別に対して「降参」した人もあろうかと思います。
自分はどう考えても「美少女」じゃない事を思い知った頃から、「男だったならなあ」と思ったものです。しかしよく考えると、要は不美人な女であるか、ブサイクな男であるかと言う二大選択肢であって。ならばなんとか取り繕う方法が多い、女であった方がいいのだろうと、昔思いました。
別に美少女や美人でなくても、女には違いないのが悲しい所です。生理痛でメソメソしたり、いわゆる女性が好きそうなものの大半がやっぱり好きです。男の運転する車は大嫌いですし、電車で足をかっぴらくおじさんも大嫌いです。
大岡越前の話に。女が何歳まで女なのかと言う越前の問いに、越前の母が「灰になるまで」と答えたと言う逸話があります。大きく受け取って「いつまでも根源的なものは、変わらない」として、そちらの方が自分はリアリティを感じます。
人間、年を取ったとか、沢山勉強したとか、偉くなったとかくらいで根っこは変りません。野上弥生子も、少女時代の高慢なしぐさと、晩年の雰囲気は全く同じです。 |
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