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...... 2019年05月06日 の日記 ......
■ 伸子   [ NO. 2019050601-1 ]

■宮本百合子の伸子を読んでいます。昔からずっと図書館にあって、女性の下の名前だけズバッと題名にしてあるので目立っていました。長い事読まなかったのは、女性作家の自伝では、第三者が読んでも分からないだろうと思ったからです。

人が読んで分からない自伝が、図書館にあるはずないのですが。女性作家のエッセイだと、各個の経験や価値観、男性観、家族観などが滝のように書いてあって、「読んでも分からない」事が結構あります。




あえて口語的に書いてある自伝と言うか、女性のエッセイも多く。「また読んでも分からない本がヒットしている」と悲しい思いさえした事があります。面白そうだと聞いて読んでも、本のノリについていけない時もあります。

(あとプロレタリア文学との関係を思い、蟹工船等の悲惨な描写ばっかりだったら読めないかもと思っていた。蟹工船的な悲惨な絵ないのだが、日本で、女性が主役を張った古めの作品は大体ヒヤヒヤでグチャッとしている気がする。荷風や谷崎のようにそれがウリですと言われればそうかと思うが、ナチュラルに酷いのが結構ある気がする。全員が全員エリスの様だ)



伸子は思いっきり自伝的なものですが、幸い読んでわかる方の本でした。私が読んで分かるかどうかがその本の価値じゃないと思うので、上に上げた例の本達も堂々ベストセラーだろうからあくまで雑感です。

佃という男性は、自分がよく知っている男性陣に似ています。「無責任」「周囲が見えていない」「頑固」「それらを美徳と信じている」「不器用、無口、口下手と言えば済むと思っている」「中身がない」「疲れた疲れた言いまくる」男性達。(女性だってあり得る事だけど、男性の場合、そんな男性ほど「俺を崇め奉って、リーダーとしてお世話しろ」オーラがあるので面倒)

こちらからの愛情や誠意、熱情さえあれば、きっと幸せになれると思っていた若い頃が懐かしいです。思えば世の酔っ払いの男性達は、相応の年齢で、相応の家族がいる人達のように思えます。つまり。家族からの愛だの、重ねた年齢も、男性の悪い所には関係ないという事です。



小さい頃読んだ本に。「夫を優しく振る舞わせるなんて、石をしぼってミルクを出した方が簡単」と嘆く女性がいました。何言っているんだろと幼少の頃思いましたが、成程と思います。

所で佃と言う名前が、明暗の津田を思わせます。伸子はまんま延子でしょうか。宮本百合子と漱石の関連は思いつきませんが、偶然でしょうか。明暗は傲岸な津田と、結婚に疲弊した延子のグチャッとした感じが解けないままでしたが、こちらの伸子には明るい未来があるといいと思います。今下巻を読みだしたところです。

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