 ■野上弥生子の欧米への旅を読んでいます。時代的に差別思想が濃厚で、当時の日本の侵略戦争を祝う表現が多いのは覚悟していました。野上弥生子の場合、そういう時代的表現以前に、家の女中さんなどへの言動も実に実にです。
あれと思ったのは、旅に同行しているはずの、豊一郎氏の影が薄い事です。あの島を観光した〜的な描写が続く中、欠片も出て来ない夫。あくまで現地の紀行文を求められた文章だからそうなのかもしれませんが、他の夫婦で行動している事が明らかな作家の場合、もう少し配偶者について語るだろうと思いました。
■南国後のルーザー様の扱われ方が気になります。氷菓の奉太郎がいたら、解いてほしいです。多分サビは、怒っていると思います。「自分がジャンを殺した」と思い込んで何十年も過ごしていたのですから。ジャンを殺したのはルーザー様です。
この場合、ジャンに加害したいくらい執着を持ったマジックより、実行犯のルーザー様が恨まれるんだろうと思います。サビは今も昔も、「マジックがジャンを愛していた」事実を知らない気がします。
ルーザー様が昔戦死を選んだ意味も、もう一度島で死ぬ事を選んだ意味も、一番可愛がっていたサービスには欠片も伝わっていないと思います。
高松が懇切丁寧に説明した所で、「自分は周囲から尊重されるべき、尊い人間である」とサビが意識を強めるだけだろうから、高松はアホらしくて解説しないと思います。
いつだってルーザー様の死は、無駄死なのかもしれません。私もルザ高にこだわって、何か月か考えて彼の死の意味を見出したので、劇中のキャラは自分自身に忙しくて気が付かないと思います。高松だけはキンちゃんと、ルーザー様の死について語り合い、納得を試みたのだろうと思います。
キンちゃんは人殺しではなく、高松も死ななくていい人を止められなかった悔いを背負って生きなくてもいいと思います。ルーザー様の守りたかった兄弟、誠意を示そうとした兄弟達に、彼が分別済みのゴミみたいに思われても、今後もふんぞり返って彼等が生きていられるのなら、ルーザー様は本望だろうと思います。
■経済には詳しくないのですが。
今の米中関係には、他の方法はなかったのかと思います。中国の肩を持つつもりはありませんが、何をつくるにしても今は中国を経由しないものは少ないと思います。安く買えるものの大半はそんな気がします。
アメリカでも事情は同じでしょう。安くたくさん買える有難さはある訳で、「中国から来た」商品であっても、もともとアメリカや日本の需要あって作られたものの事が多いと思います。
結局、関税で高くなってしまった商品を買わざるを得ないのは普通の人達です。同じ事をする、同じものを買うにしても、コストが上がっていくことになります。
「アメリカで作った、アメリカが売る」ないし「日本で作った、日本が売る」と、国境内で完結している時代はずっと前に終わりました。そういう経済のうまくいかなさが高じて、WW2が起きたので、あんまりいい感じがしません。(ブロック経済ってやつだったと思う。) |
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