madeingermany

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...... 2019年05月25日 の日記 ......
■ 三国志が教えてくれたこと   [ NO. 2019052501-1 ]

■野上弥生子の欧米の旅を読んでいます。いよいよ戦火のためにヨーロッパから出立をせまられています。本来ハラハラする場面なのですが、その後の野上弥生子の暮らしを知っているため、小説的なハラハラはありません。

何でこんなに豪勢な旅行出来たのさという、疑問は常にあります。豊一郎の渡欧あっての、弥生子の旅です。岩波書店からも紀行文を依頼されているのは分かります。

当時なので、移動に時間も手間もかかり、一見どこかの女王様の様な印象を受けるのも時代性です。あちこちの日本人公務員に世話になっているのも、あり得る事です。「最近の女中さんはなってない」とか言える階級の女性ですし。弥生子なら、長い旅を不朽の名作につづれるのも分かります。

しかし。「自分が書いたものは振り返らない」「縁もゆかりもない人に何か言われてもどうでもいい」等、なんかこう、「作家と読者」という甘い関係に浸らせない人だなとは感じます。漱石や鴎外の様な、「書かないとどうかしそう」的な感じは薄く思います。太宰的な、「読んでもらいたくてならない」な感じは欠片も無さそうです。



■仕事も原稿も忘れて、前橋でバラを見たり、温泉に入ったりしました。全てを忘れてと言いつつ、「働いてお金をもらったから、車を買ってついでにガソリンも買える、ばら園に行ける、温泉にも行ける」としみじみします。

働くだのカネだの無粋ですが。細雪の幸子達じゃあるまいし、特急列車で東京に行くにせよ、鯛の刺身を食べるにせよ、京都で桜を見るにせよ、全ては自分のサラリーからです。

それがさっぱりしていていいと思います。何を見て何を食べるにせよ、「俺様に感謝しろ」と横でジロジロ見られながら味わっては台無しです。



■心のふるさとは、周瑜やお兄様がいる呉ですが。大きく言えば三国志全体なんだろうと思います。三国志には色々教わりました。主に横光です。


・人は裏切るし、死んでしまうし。勝ち負けがあるし、何かを得る時もあれば、盛大に失う時もある。誰かを信じてよかったと思う時もあれば、手痛い思いをする時もあるし、想像以上に受け入れてもらう事もあるかもしれない、などと、三国志で読んだ気がします。

大体、「裏切り」がここまで盛大なジャンルもないと思います。パッと思いつくのは、孟達です。蜀と魏の間を行ったり来たりした人ですが、色々読んでみると、やむを得ないなと思う点も多いです。



ただし、微妙な立ち位置にいる人は余りに多く。問題はどういう状況に自分があるかではなく、自分がどう思うか、または動く・動かないかなのかなと思います。

孟達の場合、余りに動きが良過ぎる時は良過ぎるのに、滅びる時は一瞬だったなと思います。彼のおかれた状況は余りに複雑でした。関羽に従うのにはムリが生じていたし、蜀に居続けても、もともと蜀の人ではないのでしっくりいかないしで。

思えば何でもないような時に、スッと魏へ行った徐君はやはり賢かったのかもしれません。色々思うと、一代限りでも身を誤らなかったお兄様は、すごい人だったのだと思います。

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