 ■絵ってすごいなあと思ったのは。ピアノの森のカイの描写でした。ワルシャワでカイが、雨宮から傷つけられるシーンがあります。カイがどれだけ雨宮を大事に思っていたのか、モノローグやセリフもぐっと来ますが、カイの表情で語っています。
少し少女漫画チックかなと思わせてながら、内容は骨太な漫画なので安定感もあります。嫌な子のいない世界だなと思いました。雨宮も、あんな酷いこと言えるのはカイに対してだけでしょう。パパと奈美恵さんには、口答え一つしない子だったのではと思います。
パパも奈美恵さんも、疑問に思うくらい素直で真面目な息子に、過去何も思わなかったのでしょうか。パパは戦国大名みたいな危機感で一杯の心だし、奈美恵さんも奈美恵さんで、そんなパパの一触即発さを分かっていない感じがします。
劇中で。「ピアニストの男をゲットする」事に夢中な少女たちの一団がありましたが。過去の奈美恵さんも、あんな感じだったのでしょうか。向井君が調律師になるなら迷わず捨てて、カイをゲットする!!とか冗談でも言ってしまう女の子のタフさというか、プライドの高さというか。
レフやパン・ウェイを見ていて、彼らの繊細さとパワフルさの幅広さは、本人さえ大変だと思いました。身近にピアニストがいないので分かりませんが、パパみたいな成功者には、若い頃「結婚志願者」が沢山いたのかなと思います。
■ピアノの森の、パン・ウェイのピアノのCDを聞きました。音楽を知らない自分でも、ドキッとします。最初の革命からしっかりパン・ウェイのピアノなんだな、と思いました。
癒しのピアノだという、雨宮パパのピアノのCDもどこかにないかなと思いました。にわか者として、図書館のクラシックのCDをランダムに聞いていますが、どれもすごいなと思います。あの世界なら、パパのCDも図書館に並んでいるのでしょう。パパも高崎に演奏しに来ないかなと、妄想します。
■カラマーゾフの兄弟を読んでいます。長老が他界しました。他界するまでも、反対派があったり、フョードル達が来たりと落ち着かない長老の周りでしたが、亡くなったらさらに展開が荒れています。
長老が亡くなったら、すごい栄誉が修道院に与えられるだろうとかもご破算なんだろうなと思います。そして憤怒が広まり、という流れなのでしょうか。
でも小説を読む限り、長老の遺骸は布で包まれて棺に入っている以外、特別に措置をしているふうがありません。ドライアイスは当時ないにしても、匂いの強い花を集めるとかもありません。葬儀場というと百合ですが、百合の強い香りが死臭を和らげるのだそうです。
(お香も焚いていなかったような。唐突に始まる、「長老が甘党だった」批判は、ドスト自身の甘いもの好きからなのだろうか)
そりゃあご遺体も早々に痛むし、劇中のような参事にもなろうかと思います。ドストの小説はロシアが舞台だと思っても、一向に寒い気候?について触れられません。罪と罰も、舞台は夏でした。劇中の気温等は、長老に味方しなかったようです。 |
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