■ルブランのルパンの、水晶の栓を読んでいます。ホームズなら知略を楽しむところ、ルパンの場合は彼自身のファイトというかガッツを楽しむものかもと思います。
ホームズの武器が頭脳なら、ルパンの武器は意志だろうと思います。意志ならホームズにもあるし、ルパンも頭脳を活用しますが、ルパンの場合、ものすごい行き当たりばったりなところがあります。感情的と言うか。
小説を盛り上げるためなのかなと思いますが、ワトソン的な存在もないまま、アルセーヌルパンの冒険は続きます。彼の猛烈な意志がどこまで続くのか、しばらく読んでいようと思います。
(ルパンは泥棒なので、いつも基本的には追われる方になる。そこがホームズや他の作品群と違う所かもしれない。彼に社会的な追い風は吹かない)
■日本で最初にモンゴメリを読んだ一人が、村岡花子です。なんとなく、当時の文壇の女性達の「強さ」を思います。まず細雪ではないですが、英語を勉強するような家には数名の女中さんがいます。
赤毛のアンの、マリラの家には女中がいませんが、マシュウの農作業を手伝う人が若干あったはずなので、家柄や暮らし向きはよさそうです。
アンやパットの暮らしを読んで、何も疑問に思わないで訳したのか。はたまた、あまりに女中さんや家事使用人たちの存在が卑近過ぎて念頭になかったのか。
昔のいい家にいた、細雪のお春たちの様な女性の事は、普通の小説には出てきません。勘定に入りません。(お春はあくまで上女中なので、さらに彼女の部下的な娘達が、幸子の家にいる)
漱石の明暗のお時、お金の様な女性。多分、モンゴメリの小説の見えないところにいたんじゃないかなと思います。スーザンや、ジュディの様な独自の発言権を持たず、完全に埋没したような女性達が。
源氏物語で、近江の君がバカにされるくだりがあるのですが。近江の君のような女性がいるから、初めて源氏達の世界がどんなものか分かる気がします。早口で活発で、トイレ掃除だってためらわない女の子なんて、いいじゃないかと思います。
(アンやパットも、変わっていると言われるけど、あくまでいいとこのお嬢様と言うカテゴリーの中の話。アンは孤児だけどマリラが教育している。そして彼女たちは小さい頃こそ破天荒だけど、色気づく頃になると常識人に近くなっていく 自称「変わっている」だけ) |
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