 ■アグネス・グレイ雑感です。
ガチで小鳥を握りつぶす男の子の描写を、初めて読みました。もっとも英国の階級が上の人達は、ルパコナじゃないですが、シカやウサギを撃ち殺すのが楽しみでもあるので(近年は違うらしい)、ルーザー様が何か言われる筋合いは(あるかも、アグネス・グレイだとガチで「アカン」とヒロインに言わせる描写になっている)
ルーザー様のために言うと。
ハレだって趣味が狩猟でしょと思います。劇中で狩猟を楽しむハレの姿は描かれませんでしたが、釣りのキャッチアンドリリース的なもんじゃないんだろうなと思います。ハレは「撃つこと」自体好きそうです。
ルーザー様は、あくまで攻撃は手段だと思っていたと思います。目的は「家族を守る事」だったのでしょう。元来の性格が苛烈で、肝心の家族からも理解されなそうです。
■アグネス・グレイを読みました。アン・ブロンテのもう一つの長い方の本も読んでみようと思います。以下、アグネス・グレイの感想です。
・辛辣な描写が長い。
ダメ父、ダメ母、ダメ息子、ダメ娘達を延々書いている部分がある。読んでいて面白いのでダメじゃないのは分かるのだけど、「こんな人になったらアカンね」と言う参考以上のものではないのが残念
ダメ父、ダメ母、ダメ子供達にも一分の理が、ないな。多分ない。前半の成り上がり一家のダメさは、成り上がりゆえのダメさであって、彼らが成り上がってお屋敷なんか構えなければこの話も、イギリスの歴史も動かない
ダメ一家はダメだからダメなのであって、アグネスが「あかんわこの人達」と思うだけのターゲットだったのかもしれないと思うと、「読んで面白い」以上の命がないダメ一家がかわいそうに、ならない。
じゃあ劇中で誰がええ人で、誰かダメじゃないのかと言うと。
副牧師さんだったりする。上司の牧師は、女のケツと金目当てで画策している描写があるので、牧師さん全体をフィーチャーしている訳でもなさそう。
アンらしい判断なのだけど。オースティンの場合、
・ダメな金持ち ダメじゃない金持ち ・ダメな貴族 ダメじゃない貴族 ・ダメな若者 ダメじゃない若者 ・ダメな娘 ダメじゃない娘
等数学的に書き分けているので、アンの場合ももう何作か書くと、「どの階級にもどの性別にもどの年代にも、アカンひとはおる」というカオスになったのかもしれない。
アンもオースティンも「ダメな母」を書かせると容赦ないと思う。アグネスグレイの仕えた家の夫人達もアカンかったけど(息子が小鳥をなぶり殺すのを喜んだり)、高慢と偏見等のママ達も相当アカンかもしれない
(両作家とも、娘を教育も保護もしないママ達が実に多い。何分舞台がお屋敷であるから、乳母、家庭教師、メイドたちと娘や息子をいじる人達はタップリいるんだが、身分の差があって教育も何も仕様がないじゃないかと思う。
昔の母親は一人で大勢の子供産んで育てて〜今の母親はいけないねえ〜とかいうオッサンがいるかもしれないが、そんならおさんや数多の女中さん、男の使用人達など、そろえてみたまえと思う。
ちなみに所得の低い家の子達は、即労働力扱いだったそうなので、教育だの学校だのには縁が薄かったのでは) |
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