■漱石の行人を読んでいます。あくまで二郎目線の話です。一郎は多分、直と二郎が心身ともに恋人同士だった、現在も遠慮がちなだけで、と思っています。やむを得なくて、自分と直が結婚してしまっただけで。
二郎はそんな一郎を笑って否定しますが。多分、一郎しかしらない直の事があったのだろうと思います。芳江が出来る時、「おや二郎さん」とか寝起きの直が言ったとか。やましい意味で、夫しか知り得ない証拠があったんだろうと思います。直も、一郎をバカにして暮らしていますが。
直も二郎も一郎を邪魔にし、バカにし、笑っています。あらぬ疑いをし、妻に暴力を振るう一郎は愛されないかもしれませんが、戸惑う一郎を間にして、ケラケラ笑う二郎と直が悪魔に見えます。
■雪子って。黙って周囲を見ているんだなと今回見て思いました。
・貧乏が嫌い (谷崎に似ている)
・病気が嫌い (谷崎に似ている)
・気を使ってくれる人がいい (まんま谷崎)
・美味しいもの好き (谷崎)
・映画好き (ああ)
・田舎好きじゃない (疎開でもない限り、大都会でもなく山奥でもない、丁度いいところに住んでいそう これ谷崎)
雪子の運勢が明らかに下り坂になるのは、沢崎との見合いからかなと思います。そもそも見合いの話が来ないと言う数年もありました。
沢崎は言わゆる地方のお金持ちです。ですが質素に暮らしているらしく、菅野夫人と好みが合いません。もちろん幸子達とも話が合いません。彼女らと好みや話を合せる気配もありません。
多分、男尊女卑で暮らしもつましい人なのでしょう。戦前そのものという男ですが、無論雪子にはNGでしたでしょう。雪子に男尊女卑の暮らしは出来ません。
沢崎のつましい暮らしはイヤだとして。
橋寺は何故NGだったのか。前妻との娘も美人で素直でいい子だと言うのに。おそらく、前妻の娘が美人で、母親似で父に愛されているからイヤなんだろうなと思います。
父も娘も、亡くなった妻、母を永遠に覚えているのでしょう。そんな暮らし、雪子は嫌がるでしょう。前妻の娘がいるくらいならOK、美少女ならなおいいと言ったのは、昔の事になりました。
橋寺は縁談に乗り気だったけど、雪子はあえて断ったのだろうと思われます。だから、カンカンになった幸子が怖くもなんともないのでしょう。橋寺の件になって、初めて幸子と雪子の関係にひびが入りますが、貞之助がまとめて終わらせています。 |
|