■伝説みたいなものなので、もういいかなと思いますが。
細雪の雪子のモデルになった、重子さん。順調で、姉夫婦と最盛期な頃はよかったかもしれないけど、夫は亡くなるし、一緒に住めなかったし(谷崎のせい)。
飽きっぽく欲深な谷崎なので、他の若い女性に目移りするわけで。ピカソかと思いますが、身内の若い女性に夢中なんて、さぞや辛かったろうなと思いました。
「捨てる」ことにかけて、谷崎程「得意」な作家はいないだろうと思います。(女性、作風、趣味、交際、故郷、住所、家、家族、名前、部下、なんでも「捨てる」)
■最近谷崎を読んでいないんですが。
有名な長編などはパッと読めますが、クリア過ぎる古めの短編とか読めるかなと思います。
谷崎は後期になると、関西文化の影響や「お嬢様に読んで欲しい」「一個一個の小説を高めに売りたい」のか、比較的おとなしくなりますが、初期は暴走だよなと。
横浜時代の頃とか、多分過激で読めないだろうなと思います。とんでもなく長いけれど、読みやすいのは細雪だろうなと思います。
ところで
春琴抄で有名なのは、佐助が針で目を突いたところですが。目の見えない春琴を支えるはずの佐助が、目を失うのは愛ゆえだったとしても納得できないなと。
春琴が熱湯を浴びたのは事故だったとして
火傷で美しくなくなった、また加齢も始まった春琴の「容貌」を見たくない佐助の選択があれだったと思うと、谷崎だなあと思います。
そういうクリアな所以外に。春琴の小鳥を飼っている描写がいいなと(いいんだけど、春琴のわがままぶりの紹介みたいなものなので、なんだろうなとも思わないでもない。
信じがたいくらい豪勢な暮らし、それが谷崎。でも男にはキツイだろうから、息子二人それぞれにロータリーとかは買わないと思う) |
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