・緒美ちゃん。冷徹な高橋家の人間として。
涼介にガムシャラに愛を求めるのではなく。涼介がギリギリ自然に緒美に向けられる愛情の質と量を理解・把握し、適度に涼介に愛されていそうです。
緒美の賢さというか、女の生きる知恵と言うか。緒美、何をすれば涼介が嫌がるか?等みっちり理解していそうです。でも緒美も大人の女になる日が来るわけで。
緒美の方が、涼介より早く精神的に大人になる気がします。・・・・まあ、道交法はあの子の方が守るでしょう。
そう思うと京一って、涼介と綱渡りな関係だなと。京一なので涼介と言い合っても、時間をかけて修復するだろうし、仲直りまで含めて京涼なんだろうなと。
つまり、京一は涼介が好きだけど、涼介の方でもかなり京一が好きだよね、という妄想です。
・お医者と言うと、井上靖のしろばんばを思い出します。以下、大体の感想です。ほぼ、自伝だとか言います。
・辰之助という、医者がいた
本妻がいるが、下田の芸者だったおぬいを妾として湯ヶ島に住む。
ここが全ての始まり。井上靖の小説なので、有能な医者でも中央志向がなく、早々に伊豆半島に引きこもったらしい。本妻の目と鼻の先で、おぬいと家を構え、暮らす辰之助
本妻ともおぬいとも子供が出来なかった
自身が死ぬ前に、妾だったおぬいの先を案じ(※なら下田から連れて来るな、という話になりそうだが、おぬいの血縁等はほとんど書かれない)
自分の養子の娘を、おぬいの娘とする養子縁組をさせた。なので、「あんたなんか母親とは思っていない」というセリフがよく出て来る まあそうだろうなと
孤独なおぬい。が、養女が多忙のあまりに実子を一時的におぬいに預けたことによって、おぬい・洪作の暮らしが始まり、それがしろばんばという小説
おぬい婆さんがいないと、この小説は面白くない。続編もあるけど、やはりおぬいと洪作の話がいい
ところでおぬい、洪作は医者になると信じていた。かといって、おぬいに教育はない。塾にやるとか、学校の勉強を見てやることも出来ない。自分の将来を案じた洪作が、自発的に勉強を始め、かえっておぬいは困惑したくらい
じゃあどうやって、洪作は医者になると思っていたのか?おぬいに言わせると、ある日突然、洪作が医者になると思っていたよう
えーと思うが、確かに、おぬいにすれば、愛人だった辰之助の仕事や研鑽が彼女に分かるはずはなく、「いきなり」医者が現れたのだから、そうだろうなと思う。
創作でいいから、おぬいと辰之助の若い頃の話が読みたい。しかし本妻と辰之助の「本家」には面倒臭い話だろう。
織田作もそうだけど、カップルをテーマにした小説の場合、あくまで愛人関係であり、本妻は別にいて、夫の愛人を憎んでいる・・・・というのが、時代的に時々ある 結構ある
昔の小説の読みにくさの一つであり、今の小説がたまに面白くないことの理由でもある・・・気がする。漱石の坊ちゃんの母は、家の中で坊ちゃん・清・父という、もう一つの家庭があって辛かったろうと思う。坊ちゃんは清と父の子、だろうし。 |
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